特集「尖閣最前線・石垣島はいま」最終回
住民の共通認識は「尖閣は石垣のもの」 対中感情は「静かな怒り」「複雑」「不安」

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中国機に対するスクランブルは過去10年で最多

   仕事を含め、日常生活の中で尖閣にかかわることはない。それでも「大阪に住む両親が『大丈夫か』と電話をかけてきたことはあります」と井庭さん。個人的には中国に友人がおり、日中関係のこれ以上の悪化は望んでいない。2012年12月13日、中国機が日本の領空を侵犯したことは「少し心配です」と口にする一方、「中国が石垣を攻撃する、なんて現実的にはありえないでしょう」とも考える。

   だがこの領空侵犯を「意外と重大な問題」とみる向きもある。地元の識者に話を聞くと、自衛隊機による緊急発進(スクランブル)が増えている、というのだ。2012年12月18日付読売新聞によると、2011年度の航空自衛隊による中国機に対するスクランブルは156回に上り、過去10年間で最多だった。2012年度はさらに増えているのだろうか。「海の場合は海上保安庁が対応するが、空は空自。『一触即発』になりかねず、決してよい状況だとは言えません」と繰り返した。

   この識者も石垣生まれだ。中国の反日的な動きについては「表には出さないが、石垣の人たちは『それは違うんじゃないか』と反発しているのではないでしょうか」と語る。

   歴史的に深い付き合いのある台湾と比べて、中国との親交は浅い。言わば「未知の国」が自分たちに牙をむき出しにした尖閣問題。石垣島の人たちは不安や恐れと同時に怒り、加えて「これ以上の対立は望まない」「平和的に解決してほしい」との政府への願いと、さまざまな感情が入り混じっているようだ。

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