特集「尖閣最前線・石垣島はいま」最終回
住民の共通認識は「尖閣は石垣のもの」 対中感情は「静かな怒り」「複雑」「不安」

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   J-CASTニュース記者が取材した複数の石垣島住民が、尖閣諸島国有化後の中国の反日活動に危機感を抱いている印象が薄かった点は、本連載の第2回で触れた。だが同時に、誰もが「尖閣は石垣のもの」という意識が強いことも分かった。

   子どもの頃から身近に感じていた島の領有を主張し、破壊行為を繰り返す中国の様子を、報道を通して目の当たりにした石垣の人々。誰もが語り口は穏やかだったが、中国に対する思いは簡単には言い尽くせない様子だった。

「ああ、自分は『尖閣の近く』に住んでいるんだな」

石垣港に停泊していた海保の巡視船
石垣港に停泊していた海保の巡視船

   石垣港離島ターミナルで、竹富島に向かうフェリーに乗船した。動き出して間もなく、港に停泊する海上保安庁の巡視船が視界に入ってきた。その数、3隻。尖閣国有化から3か月以上が過ぎた2012年12月下旬でも、尖閣近海には中国の海洋監視船が連日、接続水域を航行していた。停泊中の3隻は尖閣での「任務」のために待機していたのだろうか。

   「石垣生まれ、石垣育ち」の住民のなかには子どものころ、学校の授業以外でも何らかの形で尖閣について聞かされてきた人が多かった。登野城小学校・宮良永秀校長のように、戦時中に海難事故に遭遇して魚釣島に漂着した人の遺族から話を聞いた、という人もいる。かつて日本人が住んでいて、カツオブシ工場があったことを小さい頃から知っていた人も少なくない。当然のように「尖閣は石垣の一部」と頭にすり込まれた。そこにいきなり中国が「自国の領土だ」と強烈に主張し、日本に敵意をむき出しにしてきた。

   宮良校長は「ただただ驚くばかりでした」と戸惑いを隠さない。一方、ペンション「海の家族」オーナーの新盛裕二郎さんは、知人の漁業関係者が「尖閣付近では安心して操業できない。近寄れない」と困っていた様子を話した。尖閣問題に関しては「中国はワガママ。日本政府はきちんと対処してほしい」と求めるが、ペンションの経営者としては「中国人客が増えてほしいとの思いもあり、複雑です」と吐露する。

   仕事の関係で4年前に大阪から石垣島に移り住んだ井庭康典さんの場合は、石垣出身者とは少し違った感じ方だ。テレビのニュースで、全国版に続いて地方版でも中国の反日デモが報じられると、「ああ、自分は『尖閣の近く』に住んでいるんだな」と実感したという。職場では、年配の人が中国の反日の様子を見て「なぜこんなことになってしまったのか」と嘆く姿を目にした。

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