食品でも非課税・課税の線引きが難しい
軽減税率は食料品などの税率を5%などに据え置くもので、負担軽減が見えやすいが、食品でもスーパーの買い物と外食で非課税・課税が分かれる国があるなど、品目の線引きが難しいし、軽減の範囲を広げれば税収が大幅に減る。軽減税率導入時期でも、公明は8%引き上げ段階からを主張するのに対し、自民党内では「軽減税率は消費税が10%以上になってからで十分」(党税調幹部)との考えが根強い。
富裕層の課税強化策も3党合意に盛られたが、民主党政権が所得税の最高税率40%を45%に上げる方針だったのに対し、自民党には反対が根強い。一方、公明党は50%まで引き上げるべきだとの立場で、意見集約は容易でない。
消費税増税の際の駆け込み需要と反動減を抑えるための自動車取得税・重量税の軽減や、住宅ローン減税拡充なども大きな焦点だが、財務省は「減税恒久化はバラマキ」と牽制する。
利害対立、党派間の意見の違いをどう調整していくか、自民党税調の「裁き」が注目される。党税調は「『族議員』の集まりではなく、(各省の要求を抑え、まとめる)嫌われ者になるのが役割だ」(野田会長)といっても、長期政権時代のかつての党税調は「族議員の声にしばしば押され、露骨な利益誘導を許すこともあった」(財務省OB)だけに、透明性をどこまで確保し、説明責任をいかに果たすかが課題になる。