特集「尖閣最前線・石垣島はいま」第4回
海外からの観光客は台湾が断トツ 中国市場の開拓「今は難しい」ジレンマ

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   中国で反日活動が激化して以降、日本に来る中国の観光客は激減した。2011年3月11日の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故により減った訪問者数がようやく回復していただけに、観光産業にとっては大きな打撃となった。

   石垣島の場合、もともと中国本土からの観光客は少ない。だが2013年3月に新空港の開港を控えており、将来的には中国からの観光客増に期待したいところだ。日中関係が「最悪」となっている今、新市場の開拓は壁に当たっている。

石垣島では中国からの観光客はもともと少ない

真冬とは思えないほど美しい海の光景が広がる
真冬とは思えないほど美しい海の光景が広がる
「海外からもっと大勢来てもらいたいですよ。もちろん、中国からのお客さんも歓迎します」

   島の北西部、サンゴ礁の海が美しい川平湾近くでペンション「海の家族」を経営する新盛裕二郎さんはこう口にした。宿泊客はリピーターが多く、毎年訪れる外国人もいるという。中国人客が来ても対応できるように、中国語でペンションの説明ほか会話のやり取りをマニュアル化したものも備えられていた。

   石垣島にやって来る外国人観光客の出身地で圧倒的に多いのは、台湾だ。石垣市観光振興推進課によると、2012年10月の訪問者数は5万8568人に上る。これに対して同月の中国からの観光客はわずか49人。香港や韓国にも大きく離されている。実は台湾と石垣の間には、時期によってクルーズ船が就航しており、比較的行きやすい。記者が訪れた12月下旬はクルーズ船のシーズンが終わっていたが、島の中心部の飲食店で聞いたところ、最盛期には「店内がすべて台湾の観光客で埋まるほど」多くの人の姿を見ると話した。

   2012年9月の尖閣諸島国有化に対する中国での大規模な反日の動きで、国内の観光業は大きな影響を受けた。内閣府の2012年12月4日付の発表資料を見ると、中国人観光客の数は沖縄県だけでも7月の1万8700人から10月には2900人と、実に84%減となった。香港や台湾からの訪問者もそれぞれ8200人から3400人、2万3200人から1万5800人と大きく減らしている。

   一方、中国から石垣島を訪れる人数はもともと少ないこともあり、島の観光産業に与える影響はほとんどなかったと考えられそうだ。理由は不明だが、香港や台湾の観光客はむしろ2012年7月より10月の方が増えていた。

   将来を考えると、中国は石垣にとって無視できない市場だろう。まだまだ訪問客は少ないとはいえ、2011年にはほぼゼロだったことを考えると2012年は徐々に増えているからだ。ペンション「海の家族」でも中国からの客を受け入れたが、思わぬ「トラブル」に見舞われた。

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