ダイハツ工業が軽自動車「ムーヴ」のマイナーチェンジで衝突回避支援システムを軽で初めて搭載し、話題を呼んでいる。低速域でクルマが前方の障害物を検知する衝突回避支援システムは、スバルの「アイサイト」など、登録車(小型車や普通車)の一部では普及しているが、装着価格は10万円が相場といったところ。
これに対して、ダイハツは徹底した低コスト化で、ベース車両に対して5万円の上乗せにとどめた。この価格設定は画期的で、軽自動車でも衝突回避支援システムが当たり前という時代がやってきそうだ。
追突事故の約6割は時速30キロ以下で発生
ダイハツの伊奈功一社長はムーヴ発表の記者会見後、記者団に「軽のユーザーの多くは高齢者や女性なので、こういうアシストシステムが大事だと思っている。でも軽は安くないといけないので、5万円に抑えた」と語っている。
伊奈社長の発言には説得力がある。交通事故総合分析センターによれば、追突事故の約6割は時速30キロ以下の低速域で発生している。ダイハツは「長い渋滞時、ちょっとした脇見や不注意で前のクルマとぶつかりそうになった時」など、「先進の安心をみんなのものにする」と謳っているが、これは軽のメインユーザーである女性や高齢者を意識したものに違いない。