2013年のトヨタ自動車は、世界の自動車メーカーで初めての世界生産台数「1000万台」の快挙を視野に入れそうだ。
2012年12月26日には、ダイハツ工業と日野自動車を含むトヨタグループの13年(1~12月)の世界生産台数を発表。12年見込み(992万台)と比べて微増の994万台とした。グループの13年の世界販売台数は、12年見込み比2%増の991万台とする計画だ。
当初は12年の生産計画で1005万台を見込んでいたが、東日本大震災やタイの洪水被害の影響や、尖閣問題にきっかけとした大規模な反日デモによって、その目標が霞んできた。13年は、好調な北米や東南アジアでの生産能力を増強して、大目標の達成に向けて突っ走る。
日本の自動車業界のリーダーでもある、好調なトヨタに課題があるとしたら、それはなんなのか――。BNPパリバ証券で自動車セクターを担当するシニアアナリスト、杉本浩一氏に聞いた。
「プリウス」が売れている
―― 2012年に世界販売台数で、トヨタは約970万台。11年に首位だった米ゼネラル・モーターズ(GM)と2位の独フォルクスワーゲン(VW)を抜いて首位に立ち、「世界一」に返り咲きます。
杉本 実現すれば、トヨタの首位は2年ぶりになります。トヨタは、12年上期は東日本大震災やタイの洪水被害の影響が残るなか、エコカー減税が追い風となったこともあって国内市場で好調でしたが、下期は反日デモが起きた中国での販売不振を受けて、従来の販売計画を見直すなど心配されました。それを海外市場での踏ん張りで、明るさを取り戻しました。
ただ、一方のGMやVWも、主要市場の欧州地域が債務問題の深刻化で経済が低迷。トヨタより伸びが鈍化したこともあります。
―― トヨタの2013年3月期の連結業績予想は営業利益で前期比3倍増の1兆500億円と好調です。なぜでしょう。
杉本 やはり北米市場と東南アジアの販売増があります。それと経費削減に取り組みました。トヨタは2013年3月期の業績を上方修正しましたが、注目してほしいのは、未定としていた中間配当を1株当たり30円とし、前期の20円から増配したことにあります。これはトヨタの業績が回復基調に乗ったことを強く印象づけました。
海外では北米市場が拡大していて、トヨタは現地工場の稼働率を高め、主力セダン「カムリ」や小型SUVの「RAV4」などの生産を増やすことにしています。また、高いシェアを握る東南アジアでは2013年にタイ工場の生産能力を67万台から76万台に増強。インドネシアも11万台から20万台に増やします。