訪日外国人震災前の状況にほぼ戻る 韓国人やや回復、中国人はまだ低調

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   日本政府観光局が2012年12月21日に発表した11月の訪日外国人旅行者数(推計)は64万8600人で、前年同月比17.6%増に上り、東日本大震災前の10年同月比でも2.2%増となった。

   震災前との比較で初めてプラスになった12年6月(0.9%増)以来、再び増加に転じ、「訪日外国人は震災前の状況にほぼ戻ってきた」(観光庁)との見方が強まっている。

韓国は2012年秋以降回復の兆し

   訪日外国人は、2011年3月11日の震災直後の同4月、前年同期比62.5%減の29万5826人と急落した。震災による交通機関などの混乱に加え、震災に伴って生じた東京電力福島第1原発事故による放射能汚染の懸念から日本を敬遠する動きが一気に広がったためで、その後も同年末まで訪日数は2ケタ減の大幅減となった。しかし、今年に入ると減少幅はやや縮小、夏以降は堅調に推移してきた。

   訪日外国人が震災前のレベルに回復してきた大きな要因の一つは、韓国人の動向だ。訪日外国人全体に占める韓国人数は最も多く、震災前の2010年の年間は全体(約861万人)の約3割に当たる約244万人。しかし、韓国内では日本の情報が多く提供されていることなどから原発事故への不安が他国に比べて大きかったうえ、円高・ウォン安が急速に進んだ影響もあり、2011年の年間では前年比32.0%減の約166万人にまで落ち込んだ。2012年に入っても、竹島をめぐる緊張もあってなかなか回復しなかったが、秋以降は竹島問題が鎮静化したほか、円高・ウォン安がやや解消、原発事故への懸念も弱まり、11月は18万3600人で、前年同月比37.0%増、2010年比では6.9%減と震災前との比較では初めて減少幅が1ケタ台に収まった。

観光庁「来年はさらに上を目指す展開になるだろう」

   また、台湾や香港、マレーシア、インドなど東南アジアを中心にアジア各国からの訪日客も好調で、6カ国・地域で11月として過去最高を更新した。同観光局によると、格安航空会社(LCC)の相次ぐ参入で運賃が低下したことなどが背景にあるという。

   一方、尖閣諸島問題を巡る日中関係の悪化により、訪日中国人は11月で前年同月比43.6%減の5万2000人と、震災直後(2011年5月の5万8608人)を下回った。

   訪日韓国人の低調な動きが「予想以上に長引いた」(観光庁)ことに加え、訪日中国人の動向が厳しいため、訪日客全体の2012年の年間累計は11月までで767万8900人で、年間で政府が目標としていた900万人に届かないのは確実だ。しかし、訪日客全体は震災前の水準に戻ってきたとの見方は定着しつつあり、観光庁は「来年はさらに上を目指す展開になるだろう」と期待している。

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