インターネットでの市販薬の販売が2013年1月内にも可能になりそうだ。13年1月11日に販売権を認める最高裁判決が確定する見通しのためだ。
ネット通販大手のケンコーコムでは確定後、すぐにでも再開できるよう準備を進めているという。ネットでは「吉報」「これはありがたい」などと歓迎の声が相次いだ。
ケンコーコムは再開の準備すすめる
2009年6月の薬事法改正で、医師の処方箋なしで買える一般用医薬品(市販薬)は 副作用リスクの高い順に第1?第3類に分類された。1類には、胃薬のガスター10や、頭痛薬のロキソニンSが含まれる。ネット販売に関する規定は設けられなかった。
ところが厚生労働省は第1、第2類のネット販売の規制を、法令改正と同時に省令改正でおこなった。「対面販売が原則」との理由だ。これに対し、当時すでにネット販売をおこなっていたケンコーコム(東京都港区)とウェルネット(横浜市)が、規制は違法、無効として提訴。1審・2審を経て、最高裁で販売権を認める判決が13年1月11日に確定する見通しとなった。
J-CASTニュースが12年12月27日、ケンコーコムに取材すると、日ごろから販売再開に向けた準備をしており、販売権を認める判決が確定すれば、すぐにでも実施するつもりだと話した。はやければ11日当日中か翌日を見込むという。
第1類医薬品の販売を開始するほか、現在、「過去にケンコーコム上で購入履歴がある」「離島に住んでいる」といった条件付で販売している第2類医薬品についても、誰にでも購入できるように変更する予定だ。ただ、安全の確保のため、自主的な販売数量制限や、ネットでの簡易問診、薬剤師による電話対応等は引き続きおこなっていくという。
副作用による健康被害生じるおそれ
ネットでの薬品販売をめぐっては、安全性の確保が争点となっていた。ネット販売では対面と違って消費者に十分な説明がなされず、副作用による健康被害が生じるおそれがあるというのが国などの主張だった。一方、ケンコーコムらは「ネットでも説明は可能」と反論。日本オンラインドラッグ協会(JODA)は自主ガイドラインを作成し、ヤフー、楽天などと共同でネット販売の継続を求める要望書を国に提出していた。
10年3月に下された1審・東京地裁判決では、規制は健康被害を防ぐ上で合理性があるとして国側が勝訴した。しかし、2012年4月の2審・東京高裁判決は、一転して販売権を認めた。薬事法改正にネット販売に関する規定がないことや、ネット販売による副作用発生の調査がなされていないことをあげ、「改正法の趣旨を逸脱しており違法」と判断したのだ。
その上で12年12月22日、最高裁第2小法廷は、判決期日を13年1月11日に指定した。これまでに2審を見直すための弁論を開いていないため、販売権を認めた東京高裁判決が確定する見通しとなった。
はやければ、1月以内にネットで市販薬がかえるようになることに、ネットでは、「吉報」「これはありがたい」などと歓迎の声が相次いでいる。