【2012年テレビ回顧】(下)
視聴率大異変、トップはどこか 逃げる日テレ、追うテレ朝、フジあきらめない

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   テレビは今年もたくさんの話題を提供してくれた。人気の番組や視聴率、テレビ局の激しい競争について、J-CAST家の父、母、兄(大学生)、妹(高校生)が語り合った。

「平清盛」が大河の最低を記録

:今年、視聴率がよかった番組は?
:やっぱりオリンピックだよ。サッカーなでしこのスウェーデン戦が30.2%、アメリカ戦が29.1%。これが五輪中継の視聴率1位と2位だった。
:日ごろテレビの批判ばかりしてるけど、スポーツは見るのね。
:感動したね。夏はみんなロンドン五輪の話題ばっかりだったなぁ。韓国のサッカー選手が「独島(日本の竹島)は我が領土」とPRしたパフォーマンスには頭に来たけど。
:ドラマでは、去年の「家政婦のミタ」みたいな超話題作はなかったね。
:私はNHKの「梅ちゃん先生」が毎朝楽しみだった。堀北真希の主演で、SMAPが主題歌を歌った。キャストも豪華だった。
:大河ドラマ「平清盛」は?
:初めの何回かは見てたけど、ストーリーとか人物の関係がよく分からないから見なくなっちゃった。
:そういえば兵庫県知事が「画面が汚い」って怒ったことが話題になったわね。物語の舞台になる県の知事だから、だいぶ観光客を見込んでいたみたい。
:大河ドラマは、NHKの看板番組であると同時に、地方自治体の「観光振興」という面があるんだ。知事の仕事の一つは、地元を舞台にした大河ドラマをNHKに作ってもらうことだと聞いたことがある。撮影には協力したのに、という思いがあったのかもしれない。
:でもほめる人もいたみたい。
:坂東玉三郎は「セットや美術、物語の背景まで、これほどのことは映画でもできない」と評価していた。見ていると、確かにそうかも、って思わせる作りだった。NHKはスタッフが優秀で予算もあるから凝りすぎちゃうことがあるんだ。最新の歴史学の成果を取り入れようとして猛勉強しちゃう、とか。
:視聴率は悪いね。1ケタが続き、大河ドラマの最低視聴率だったらしい。
:受信料払ってるんだし、家族で見る時間帯だから、面白い番組にしてくれないとね。

テレ朝の「御三家」入りにびっくり

:そういえば、今年はテレビ朝日が好調らしいわね。4~6月は3か月連続で視聴率4冠!
:それってすごいことなの?
:開局以来初めてらしい。全日(6~24時)、ゴールデン(19~22時)、プライム(19~23時)、プライム2(23~翌1時)の4部門でトップってことだよ。長年、フジ、日テレ、TBSに差をつけられ、テレビ東京に追い上げられていた時代もあるのに。隔世の感だ。
:サッカーのW杯予選はテレビ朝日だったよね。軒並み30%超えたからね。それにフィギュアの中継。ニュースは「報道ステーション」。俺は見ないけど。
:「アメトーーク!」や「ロンドンハーツ」は堅調だし、「お試しかっ!」や「お願い!ランキング」がヒットしたわね。夜遅い時間帯の番組をゴールデンで特番組んでやるスタイルで改変期に大きな数字を残したよ。高校生の私にはよかった。それにバラエティが好調だったわね。ドラマも「ドクターX」が良かった。
:フジテレビはどうなの。
:7年間続いていた視聴率3冠王を、昨年は日テレに奪われた。奪還を目指したんだけど苦しんでいる。
:「HEY!HEY!HEY!」や「はねるのトびら」とか、何年も続いたバラエティ番組が終わるし、「料理の鉄人」をリニューアルして鳴り物入りで始まった「アイアンシェフ」もスタートからつまづいたわね。
:「ほこ×たて」は日本民間放送最優秀賞でしょ。面白いのもあったんだけどね。
:オダギリジョー主演のドラマ「家族のうた」もびっくりするくらい視聴率が悪かった。あまりの悪さにスポンサーが撤退するかもって噂があったらしいよ。

視聴率至上主義のワケは?

:じゃあ番組製作のスタッフはガッカリだね。
:それ以上にガッカリしてるのは営業だよ。
:なんで?
:テレビ局は、視聴率が悪いとCMがつかなくなって売上げが落ちる。
:なるほど。
:CMには、「タイムCM」と「スポットCM」の2つがあるんだ。単純に言うと、タイムは、「この番組の提供は…」って番組内で紹介されるスポンサーの広告。一方のスポットは番組と番組の間に流れる短い広告。視聴率がよくなると、まずスポット広告の希望が増える。それから先々のタイムのスポンサー希望も増える。当然だけど、広告単価もアップする。
:じゃあ視聴率を気にするのは広告料収入を気にしてなのね。
:そう。一時、テレビは飽きられたといわれたけど、最近はやっぱりテレビでの宣伝効果はすごい、と見直されているんだよ。
:よく言われる「視聴率至上主義」ってのはそういう仕組みだったのね。
:じゃあ、今年の視聴率競争は、もろに各テレビ局の経営にも影響しているわけか。
:そこがちょっと微妙なんだ。実は、東京のテレビ局は今年度の上半期、経営的にはどこも絶好調だったんだ。4位のTBSも含めてね。去年の東日本大震災による「自粛」の反動と夏のロンドン五輪特需で広告がよかった。系列のBSも調子がいい。上半期、前年度比の営業利益の伸びは、各局ともすごかった。
:フジも含めて?
:そう。堂々の増収増益だったよ。でも、細かく見るとフジは夏ごろから「スポット広告」が落ちている。そんなこともあって11月段階では、下半期の収支見通しを大幅に下方修正した。
:へぇー、そうなの。
:でも上位の3局の視聴率争いは僅差なんだ。ゴールデンやプライムは12%前後、全日も7~8%のところで3局が激しく競っている。いまのところ年間では「逃げる日テレ、猛追するテレ朝、フジもまだあきらめない」というところかな。年度でいうと来年の3月までだから、まだまだどうなるか分からない。
:うーん、面白そう。緊張感があるわね。日テレ、テレ朝、フジの視聴率争いをドラマにしてくれないかしら。絶対、見る!
姉妹サイト