視聴率至上主義のワケは?
母:じゃあ番組製作のスタッフはガッカリだね。
父:それ以上にガッカリしてるのは営業だよ。
母:なんで?
父:テレビ局は、視聴率が悪いとCMがつかなくなって売上げが落ちる。
妹:なるほど。
父:CMには、「タイムCM」と「スポットCM」の2つがあるんだ。単純に言うと、タイムは、「この番組の提供は…」って番組内で紹介されるスポンサーの広告。一方のスポットは番組と番組の間に流れる短い広告。視聴率がよくなると、まずスポット広告の希望が増える。それから先々のタイムのスポンサー希望も増える。当然だけど、広告単価もアップする。
妹:じゃあ視聴率を気にするのは広告料収入を気にしてなのね。
父:そう。一時、テレビは飽きられたといわれたけど、最近はやっぱりテレビでの宣伝効果はすごい、と見直されているんだよ。
母:よく言われる「視聴率至上主義」ってのはそういう仕組みだったのね。
妹:じゃあ、今年の視聴率競争は、もろに各テレビ局の経営にも影響しているわけか。
父:そこがちょっと微妙なんだ。実は、東京のテレビ局は今年度の上半期、経営的にはどこも絶好調だったんだ。4位のTBSも含めてね。去年の東日本大震災による「自粛」の反動と夏のロンドン五輪特需で広告がよかった。系列のBSも調子がいい。上半期、前年度比の営業利益の伸びは、各局ともすごかった。
妹:フジも含めて?
父:そう。堂々の増収増益だったよ。でも、細かく見るとフジは夏ごろから「スポット広告」が落ちている。そんなこともあって11月段階では、下半期の収支見通しを大幅に下方修正した。
母:へぇー、そうなの。
父:でも上位の3局の視聴率争いは僅差なんだ。ゴールデンやプライムは12%前後、全日も7~8%のところで3局が激しく競っている。いまのところ年間では「逃げる日テレ、猛追するテレ朝、フジもまだあきらめない」というところかな。年度でいうと来年の3月までだから、まだまだどうなるか分からない。
母:うーん、面白そう。緊張感があるわね。日テレ、テレ朝、フジの視聴率争いをドラマにしてくれないかしら。絶対、見る!