「気が付いたら小指が変形していた」――そんな怖い症状を訴える人が相次いでいる。
ツイッターなどで投稿されている写真を確認すると、小指の第1関節と第2関節の間の部分がへこむ、場合によっては指が半ば歪んだ状態になっている例さえ見られる。どうしてこんなことになってしまうのか。
海外では「テキスト・サム損傷」と呼ばれている
原因ではないかと多くの人が疑っているのが、近年普及が著しいスマートフォンだ。スマホの持ち方には人によって差があるが、親指~薬指の4本で背後からホールドし、さらに小指をスマホの底に置いて支える、という持ち方をする人が多い。この持ち方をすると、ちょうど上記の第1~第2関節の間の部分に、スマホの重みがかかる格好になる。それが、小指の変形につながっているのではないか、と推測されている。
ネット上では2011年ごろからこうした症状を訴える人が増え始め、スマホの一般化が進んだ2012年ごろからはブログや掲示板などで、「iPhone指」「スマホ病」などと呼ぶ人も出始めた。「変形」以外にも、小指が「しびれる」「痛みを感じる」あるいは「タコができる」といった症状を報告する人も少なくない。この現象を取り上げたNAVERまとめをきっかけにツイッターでもこの話題が広まると、
「うわ!!自分もなってた!!」
「今日改めて見たら私も変形してる…」
「私も凹んでる…気がする…」
といった叫びがあちこちから上がった。
これら小指の「変形」のすべてが、スマホの使いすぎによるものかはわからない。一方海外ではこうしたスマホなどが原因で起こる指へのダメージはすでに「テキスト・サム損傷」と呼ばれ、問題視する声が広がっている。
長時間のパソコン操作も関連してる?
『パソコン、スマホで筋肉が癒着する!』(グリーン・プレス)の著書があるKIZUカイロプラクティック代表院長の木津直昭氏も、「最近、指がうまく曲がらない、痛む、あるいは反ってしまう、などの症状を訴える人が目立っています」と話す。
「スマホをひんぱんに利用する人は、パソコンも長時間使う人がほとんど。パソコンとスマホはともに手や肩などへの負担が大きく、相乗効果で増加につながっているのでは。問題の小指の『変形』も、スマホだけでなくキーボードの使いすぎなどによる複合的要因の可能性があります」
スマホが怖いのは、端末を握った状態のまま、指先だけで操作できてしまう点だ。この姿勢・動作が長く続くことで、指を伸ばす筋肉と曲げる筋肉のバランスが崩れ、関節の障害や腱鞘炎などを引き起こすリスクがあるという。また肩に力が入りやすく、こりや頭痛、さらにはめまいや吐き気の原因にもなる。木津院長はこうした「スマホ症候群」に注意を呼びかける。
「予防には使用時間をできるだけ短くし、また休憩を挟むこと。ストレッチやエクササイズ、また座り方や持ち方・使い方の工夫も大切です。それでも症状が緩和されない場合は、治療を受けるべきでしょう」