日本では「脱『お友達』」として現時点では比較的評価の高い第2次安倍内閣の顔ぶれに、韓国メディアが猛反発している。主に批判の対象になっているのは、稲田朋美行政改革相と新藤義孝総務相。2011年夏、竹島に近い鬱陵島の訪問を試み、金浦空港で入国拒否されたことが「政治的パフォーマンス」だと受け止められているからだ。それ以外にも、過去の発言を理由に「閣僚の60%以上が右翼に満ちていた訳だ」とまで論じる大手紙もある。
金浦空港での入国拒否は「周囲の目を引く政治ショー」
今回の組閣をめぐっては、韓国メディアは
「極右政治家大量起用…国政の右傾化加速の見通し」(聯合ニュース)
「独島・慰安婦妄言政治家、安倍内閣に大挙入閣」(ハンギョレ新聞)
「安倍首相、就任初日から挑発」(朝鮮日報)
と、総じて厳しい評価だ。特に稲田氏と新藤氏への批判は激しく、竹島の韓国側の呼び名から「独島狙撃手」という名前まで付いている。例えば朝鮮日報は
「『独島突撃隊員』を入閣させて韓国に握手を求めるのか」
と題して、入国拒否された時の様子を
「9時間にわたり無礼な行動を取り、最終的に『目的を達成できず日本に帰国することは大変遺憾』と感情的な態度を取ったが、これをきっかけに政治家として名を売り始めたようだ」
「韓国への入国がかなわず日本に帰国する際『竹島は日本領土』と叫んで周囲の目を引く政治ショーを行った」
と、こき下ろした。
飯島勲氏は「安倍も、その前に立てば穏健派」?
また、中央日報は、山本一太沖縄・北方担当相、下村博文文科相、古屋圭司拉致問題担当相の3人について
「慰安婦問題を否認し、領土問題に強硬な立場を貫いてきた、いわゆる『安倍ファミリー』」
と表現。18人の新任閣僚のうち11人を「右翼性向」と分析しており、「閣僚の60%以上が右翼に満ちていた訳だ」と断じた。同紙は別の記事でも、
「安倍も、その前に立てば穏健派 極右飯島びっくり抜擢」
と題して、
「小泉の総理在任5年半の間、靖国神社参拝など、韓国と中国に強硬外交を展開するように主導した人物」
と、小泉政権で首相秘書官を務めた飯島勲氏が内閣官房参与に起用されたことを批判した。
ただし、安倍政権自体は現段階では歴史問題については慎重姿勢だ。菅義偉官房長官は12月27日午前の会見で、いわゆる従軍慰安婦の強制連行を認めた1993年の「河野談話」の見直しについて問われ、
「この問題を、政治問題、外交問題にさせるべきではないと考えている。前の安倍内閣でこれについて閣議決定をしたという経緯もあるので、そうした経緯も踏まえながら、学術的観点から有識者の検討がされていくことが望ましい」
と述べるにとどまった。