「落ちぶれた姿」で日本に戻ってプレーしたくない?
現時点で松井選手は、引退どころか来季の去就に関して具体的な話はしていない。メジャー昇格を目指して米国に残るなら、マイナーのチームや独立リーグという道もある。だが38歳という年齢で、大リーガーと比べて格段に野球環境が厳しいマイナーで、昇格する確証がないまま耐え続ける生活に意義を見いだせるだろうか。また今季のような「浪人生活」が長引くようなら、実戦から遠ざかってますます大リーグ復帰が難しくなるだろう。
こうなると、米国を離れて日本球界復帰を早めに決断するという選択肢も現実性がなくはない。菅谷氏も「日本のファンはあたたかく迎えるはず」と話す。一方で、ニューヨーク・ヤンキースで4番を務め、ワールドシリーズMVPにも輝いたプライドから、「落ちぶれた姿」で日本に戻ってプレーしたくないと考えても不思議はないとする。
今季途中でレイズを不本意な形で退団したことから「このままでは終わりたくない」との思いはあるはずだ。一方で「大リーガーとしてキャリアを終えたい」との思いを持っているかもしれない。近年は大リーグで「失敗」した日本人選手がすぐに日本球界に復帰するケースがあるが、菅谷氏は「松井選手はそういうタイプではない」と明言する。
米国に残ってメジャー再挑戦か、日本でファンに「メジャー帰り」の雄姿を見せるか、それとも一線から身を引く決意を固めるのか――。万一引退の道を選んだとしたら、「松井選手の性格からみて、本人がきちんとした形で報告する機会を設けるでしょう」と菅谷氏は語った。