かつては「バラマキ」、どうなる新年度予算
ただ、その過程で石原環境相もいろいろと巻き込まれるのは確実だ。日本原子力発電敦賀原発では2号機建屋直下に活断層があるとする報告書が来年1月にも原子力規制委員会からだされるというので、この扱いがポイントだ。原子力規制委員会は三条委員会であるが、環境省の外局となっており、事務局の原子力規制庁は環境省の内部組織だ。
また、来年早々には安倍首相の訪米も予定されている。その時までには、TPP交渉参加で一定の結論が必要だろう。総選挙で、農業関係者に対して自民党はTPPへ参加しないという空手形を切りまくった。その後始末は農水相の仕事になる。これはかなり困難が予想される。これまでの自民党のパターンは、予算による大盤振る舞いだ。かつて米開放でも数兆円のバラマキが行われた。2013年度予算、補正予算でどのように扱われるのだろうか、興味津々である。
いずれにしても、当面のライバルである石破茂、石原伸晃、林芳正各氏を隔離したり、内閣の困難な仕事を割り当てたりして、うまく処遇し、その結果「お友達内閣」の批判も防いでいる。
ただ、「官高党低」で、石破幹事長の支持者がほとんど入閣せず、党内に押し込められた。官邸主導の経済政策がうまくいけば、そうした不満分子も騒げないが、そうでないと自民党内がざわつき出す。はたしてどちらだろうか。
<編集部より::政権交代に伴い、今回から連載タイトルを「高橋洋一の自民党ウォッチ」と変更しました>
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。