背景には中小企業金融円滑化法の廃止がある
金融庁の今回の方針の背景には、2013年3月末で中小企業金融円滑化法が廃止されることがある。同法は経営悪化した中小企業も、銀行と相談して再建計画を立てれば、不良債権扱いしないというもので、銀行の融資をしやすくし、または返済を猶予する効果があり、いわば企業の再生への時間を稼ごうという法律だ。
しかし、長引く景気低迷で中小企業が経営不振からなかなか立ち直れないため、同法が廃止された途端、倒産が激増すると懸念されている。銀行の出資上限を緩和すれば、DESの活用で企業破たんを回避でき、再生が進む――という理屈だ。
金融庁の方針を議論した金融審議会では、5%ルールの10~15%への緩和について異論が噴出。「実質的に銀行業以外の業務を行えることになる」と、銀行法の根幹に触れることへの懸念が主な論拠だ。銀行経営の健全化のため、変動リスクの大きい保有株式を順次減らしてきた、バブル崩壊後の金融行政との整合性を問う声も根強い。