ヤマダ電機がベスト電器の買収完了 国内市場の3割占め、さらなる業界再編も

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   家電量販店最大手のヤマダ電機は2012年12月13日、九州を地盤とするベスト電器の子会社化を完了したと発表した。ヤマダはベストへの出資比率を51%に引き上げる今回の買収を7月に発表していたが、公正取引委員会の承認手続きにやや時間がかかり、年末となった。売り場の主役である液晶テレビの不振などから家電量販の国内市場はシュリンクしており「さらなる再編は必至」(金融筋)。国内トップとのヤマダとしては新たな再編も視野に入れつつ、海外展開に注力する構えだ。

「第三者」に8店売却が条件

   公取委は、ヤマダが121億円を投じる今回のベスト買収の条件として、「第三者」にヤマダ・ベスト連合の8店を売却することを挙げ、ヤマダ・ベスト連合がこれを受け入れた。公取はヤマダ・ベスト連合が誕生することにより、地域によっては「独占」状態が生じ、消費者に不利益となりかねないと判断。ヤマダは「米アマゾンなどが家電製品のインターネット販売で存在感を高めるなか、独占状態にはならない」と反論したようだが、調整の結果、2013年6月までに「8店」を選ぶことで決着した。

   会見でヤマダの山田昇会長はベストとの合計で国内シェアが「30%ぐらいになる」と明らかにしたうえで「これでようやくメーカーが当社を利用して商品を作る規模のメリットが出る。チェーンだからシェアにこだわる」と述べた。

   山田会長はさらに「地域地域で戦っているが、利益が出るのは3社ぐらい。4社目は利益出ていない。チェーンは3社が持論」と強調。今回の公取の審査も、「これからの再編の指針になる」と指摘し、「新たな再編ありうべし」との考えを改めて示した。

アマゾンなどのネット通販が脅威

   確かに家電量販店業界を取り巻く状況は厳しい。2011年7月の地上デジタル放送移行前の特需の反動が続いているためだ。先頃まとまった各社の2012年9月中間決算でも、売上高は軒並み2割程度、前年同期から落ち込んだ。エディオンやベストは最終赤字に陥った。テレビに代わる商材が見い出せないだけでなく、アマゾンなどのネット通販もライバルとして脅威となりつつあり、長いトンネルから抜け出せない印象だ。

   こうした中、ベストを子会社化したヤマダは改めて海外に活路を求める。海外で唯一進出している中国は日本製品の不買運動の影響もあり、現3店体制は維持しつつ、予定していた2店の開店は凍結する。半面、ベストが得意な東南アジアへの展開を拡大する方針だ。

   山田会長は「(海外展開は)今回の(ベストとの)提携の大きなメリット。ベストの強みとヤマダの強みを足せば可能性が大きい。スピードを持って取り組める」と強調する。特にベストがインドネシア、シンガポールで各10店を出店している東南アジアは「勉強させていただく」(山田会長)といい、展開の軸に据える考えだ。

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