衆院選で議席を大幅に減らした日本未来の党が、新たな苦境を迎えている。嘉田由紀子代表が、滋賀県知事と兼任していることについて議会で「公務に支障が出る」と猛批判を受け、「今後のことについては改めて熟慮したい」と、兼務を断念するともとれる発言をしたのだ。
加えて消費増税についてのブレを指摘されるなど、今やボコボコ状態だ。そうは言っても、党内に残された衆院議員は、わずか9人。「新たな顔」をめぐる攻防が活発化しそうだ。
かつては増税を評価する発言をしていた
2012年12月19日に始まった県議会では、まさに嘉田知事が集中砲火を浴びる形になった。問題とされたのは、主に(1)県政がおろそかになるのではないか(2)県政と国政の利害対立についてはどう処理するのか、という2点。議員の
「滋賀県益を損なっているのではないか」
といった指摘については、フランスなどを念頭に
「兼務でいっそう効果的な政策ができている事例もある」
と反論する一方、消費税の増税分の一部が地方に配分をされることから、かつては増税を評価する発言をしていたことを突っ込まれると、
「税制は、いわば直接動かせない知事としては評価をさせていただいた。一方、税制そのものに関与できる国政政党としては、願望として、また、方向として、脱増税の方向性を示すことでバランスを取った」
と苦しい釈明。肩書きによって方針が異なることの矛盾点を突かれると、
「それぞれの立場については、それぞれの場面で条件として示していきたい」
と、場面によって人格を使い分けるともとれる答弁で、火に油を注ぐ形になった。
12月19日の段階では、
「軸足は、あくまで滋賀県にある」
としながらも、兼務へのこだわりを見せていた嘉田氏だが、12月20日には批判を踏まえる形で、
「今後のことについては改めて熟慮したい」
と軌道修正。この発言は、党代表辞任に含みを持たせていると受け止められた。
社民党政審会長だった阿部知子氏が「要職」に?
12日26日には特別国会が開かれる。仮に代表が交代するとなると、わずか数日で新体制の発足を迫られることになる。
新たな「顔」は、国会議員の中から選ばれるとみられるが、未来の党は61議席あった議席を衆院選で9議席に減らしている。飯田哲也代表代行も落選したひとりだ。当選した9人のうち、小選挙区で当選を果たしたのは、小沢一郎氏(岩手4区)と亀井静香氏(広島6区)のみで、残る7人はいずれも比例復活だ。
参院議員は8人所属しており、森裕子参院議員が副代表を務めている。
すでに、「新人事」に向けた動きは進んでいるようだ。嘉田氏は12月20日に京都市内で小沢一郎氏と会談しているが、共同通信によると、その中で嘉田氏は阿部知子氏の「要職」起用を打診したとされる。飯田氏の代表代行続投も検討されているというが、飯田氏の指示で告示日に比例名簿の順位を入れ替えて混乱を招いたことから、旧「国民の生活が第一」系の議員からの反発も予想される。
阿部氏は衆院選では南関東ブロックから比例復活。社民党では政審会長を務めたこともあり、社民党の中では比較的現実的な路線を打ち出していたことで知られている。理念先行型の福島瑞穂党首との対立が激化し、12年11月に社民党を離党していた。