一般社団法人・日本肝胆膵外科学会と同会理事長が、週刊朝日に対して怒っている。広告募集のパンフレットに名前を無断使用されたうえ、そのパンフレットで多くの医療施設に100万円以上の広告掲載を持ちかけていたからだ。
学会はすでに週刊朝日に抗議文を送付するとともに、経緯について詳しい説明を求めている。橋下徹・大阪市長に絡む連載の騒動があっただけに、ネット上では同誌への厳しい意見が相次いでいる。
「週刊朝日の広告企画とは一切関わりありません」
日本肝胆膵外科学会のホームページ(HP)を開くと、左下には悪質商法への警戒を呼びかけるかのような「注意!週刊朝日の広告企画案内について」の文字。クリックしたところ、同学会と宮崎勝理事長の名で会員約3500人に充てた「緊急のお知らせ」と題する告知文(2012年12月17日付)がアップされた。
これによると、週刊朝日は13年2月発売予定のムック本「手術数でわかるいい病院2013」に掲載する広告企画の募集案内に、「取材協力」として学会と宮崎理事長の名を無断で記したうえ、多くの医療施設に100万円以上の広告料を要求しているという。
続けて告知文は
「本学会および宮崎個人は、週刊朝日の広告企画に対し、一切の関わりを持っておりません。その旨ご承知いただき、ご注意くださいますようお願い申し上げます」としている。
「週刊朝日に対し、抗議文の送付し説明を求める予定です。事情が明らかになり次第、会員の皆様に報告申し上げます」
週刊朝日を発行する朝日新聞出版広告部の資料によると、問題のムック本「手術数でわかる-」は03年の発刊以来、読者や医療機関からの評価が高く、週刊朝日の医療系別冊、増刊群の中で最も大きな反響を読んでいるという。シリーズ11冊目となる2013年版は、発行予定30万部でB5判、ページ数は548となっている。
「週刊朝日は杜撰すぎる」
「手術数でわかる-」の広告企画に絡む日本肝胆膵学会の告知文は大きな話題となり、朝日新聞出版に多くの問い合わせが寄せられたことから同社は12月20日、報道各社にコメントを発表した。
その内容を要約すると、朝日新聞出版が宮崎理事長に依頼したのは、「手術数でわかる-」の企画広告のページに掲載されるインタビューだったという。インタビュー取材はすでに終わっており、宮崎理事長が「一切関わりを持っておりません」としたことについて、逆に「当惑しております」と言う。
しかし、宮崎理事長は、ムック本にインタビューが掲載されることに「関わりを持っておりません」と言っているのではなく、了解なしに企画広告集めの案内文に「取材協力 日本肝胆膵外科学会 理事長 宮崎勝」と記されたことについて怒っているのであり、大きなズレがある。
朝日新聞出版はJ-CASTニュースの取材に対し、多くの医療施設に送付した広告企画の募集案内について「朝日新聞出版の社名ではなく、広告会社の社名で送っていた」と答えた。つまり実際の営業は、広告会社に任せていたというのだ。ただし「取材協力-」と書かれた広告企画の案内文について、「(朝日新聞出版側の)担当者は文書を見ていたが、広告会社は理事長の了解を得たものだと思っていた」と回答した。
肝胆膵外科学会と週刊朝日、朝日新聞出版のトラブルを巡り、ネットの掲示板には多くのスレッドが立ち上がり、「橋下市長の記事といい、週刊朝日はやることが杜撰すぎる」「ほとんど詐欺」「広告料払ってくれれば『いい病院』として紹介するのか?」などの冷ややかな意見が圧倒的多数を占めた。