日本航空(JAL)の植木義晴社長は2012年12月20日の定例会見で、13年3月に新たに割り当てられる羽田空港の国内線発着枠について、全日空(ANA)への割り当てが8枠に決まったのに対してJALは3枠にとどまったことについて、「私の気落ちとしては非常に残念」と述べた。経営破たん期間を「ゼロ査定」する国交省の原案に有識者から異論が相次いだにもかかわらず、最終的に国交省が「押し切った」ことを批判した形だ。
破たん期間「ゼロ査定」に有識者から異論
新たに配分される発着枠は25枠。そのうち12枠をJALとANA分け合う形になったが、委員会でANAが「経営破たんした事業者は枠の配分を受ける資格がない」と主張。国交省はJALが公的支援を受けていた2年2か月を「ゼロ点」とする評価基準の案を提出し、有識者による小委員会では、出席者から「実際に飛んでいる期間についてもゼロ点にするのはおかしい」などと異論が相次いでいた。
植木社長も、
「検討委員会で委員の方が、非常に公平・公正にお話をしていただいた。その意見が十分に取り入れられなかった」
と主張。公的支援については「感謝しきれない」としながらも、
「社員が懸命に努力してきたことも見てきた。その努力が十分に認められなかった」
と不満を表明した。その上で、
「もう、後ろを振り返っているひまはない。3枠だが、それをいかに有効に活用していくがが大事」
と述べた。
自民党への政権交代が決まったことについては、
「しっかりとした政治を続けていただきたいと期待している」
「今の日本の航空業界の競争環境は、海外と比べて厳しいものがある。海外と均等な競争環境を整えていただきたい」
と述べるにとどまった。
円安傾向が進んでいることについては、
「急激な変化ではなく、ある程度のところに安定的に落ち着けば、それに対する対応は十分準備している」
と、影響は限定的だとの見方で、日銀が追加の金融緩和を決定したことについては
「自民政権になって、それも一つの手法だと理解している」
と述べた。
稲盛名誉会長の退任時期は「まだ怖くて聞いていない」
また、2012年は国内の格安航空会社(LCC)3社が相次いで就航する「LCC元年」だったことについては、
「1年間の結果を見ても、LCCは新規需要を確実に開拓している。フルサービスキャリアと一定程度の住み分けが見えてきた」
と、需要の競合(カニバリゼーション)は限定的だとした。
13年早々にも退任するとみられている稲盛和夫名誉会長の退任時期については、
「まだ怖くて聞いていない」
と苦笑い。
「名誉会長ご自身がお決めになること」
と述べた。