日本ハムの斎藤佑樹が12月17日に契約更改を増額で終えた。今季の内容は、栗山監督から「サプライズ開幕投手」を任され、完投勝利と滑り出しはよかったものの夏前に失速、優勝したチームにあって取り残された格好だった。「来年が勝負」と周囲の目は厳しい。早くも曲がり角に来たようである。
6月以降勝ち星なし、二軍落ちも経験した2年目
500万円アップの3500万円――これが更改の中身。開幕投手を務め、完封も記録したから、というのがアップの材料だった。2年目の今年の成績は、19試合に登板、5勝8敗、防御率3.98。6月6日の誕生日に勝った後は、勝ち星なし。
「来年はチームの優勝に貢献したい」
そう語る表情は自信を失っているように見えた。早実時代に甲子園で全国制覇、早大時代に東京六大学リーグで優勝したころの自信満々の顔ではなかった。
察するに、プロの厳しさを味わったというより、自分を見失い、不安に陥ってしまったのだろう。二軍落ちを経験するなど、プライドはずたずたになった。
「一軍投手の球威ではない。変化球ばかり」
評論家どころかチーム内からもそんな指摘があった。優勝が決まる前に一軍に戻ったが、居場所がなかったという状況だった。
このままでは先発は厳しい
斎藤の来年は勝負の年になるだろう。先発メンバーに入れるかどうか、注目したい。今シーズンのピッチングでは、かなり難しい。球威が今以上に出ることは考えにくいから、いい変化球をもう一つ覚えることと、コントロールを身につけることである。ダルビッシュ有も一目置いた武田勝の投球術は参考になる。
かわいがってくれる栗山英樹監督がどこまで援護するか。オープン戦で好投できなかったら中継ぎに追いやられるだろう。
「今年のようだと、試合開始と同時にリリーフを用意しなければならない。ブルペンの信頼がなくなってしまう」
こんな声がある。先発投手としては屈辱的だ。栗山監督の耳にも入っているだろうから、斎藤にとって曲がり角の3年目になることは間違いない。
この秋、WBCの候補メンバーによる練習試合、対キューバ戦で、斎藤は登板の機会が与えられなかった。斎藤の人気も山本浩二監督には通じなかった。「人気より力が必要」だったからである。
球団の来年の期待は、ドラフト1位の大谷翔平。大リーグ希望を翻意させて獲得した金の卵だ。春のキャンプは大谷フィーバーになる。斎藤はメディアを気にせずに調整することができるだろう。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)