まだ残る再稼働への「不安」
米倉弘昌会長が「自民党の圧勝を歓迎する」と手放しで喜んだ、日本経済団体連合会は2012年12月18日、「エネルギー政策の再構築を求める」提言を発表。民主党政権の「革新的エネルギー・環境戦略」を見直し、「電力の供給不安を解消し、価格上昇圧力を抑制するためには、安全性の確認された原発を地元自治体の理解を得て再稼働していく必要があり、そのための道筋を早急に明示すべきである」と、注文した。
とはいえ、原発の再稼働をめぐるハードルは低くない。自民党と連立を組む公明党が「速やかな原発ゼロ」を主張。また自民党内にも「原発ゼロ」を求める声がくすぶっている。
原発再稼働について、自民党は電源構成の最適な組み合わせを遅くとも10年以内に確立し、「すべての原発について3年以内の結論を目指す」としている。
「柔軟に考えていく」(安倍総裁)といえば聞こえはいいが、確固たるロードマップが定まっているわけではない。しかも、原発の安全性については独立した規制委員会による専門的な判断を最優先し、再稼働の可否も規制委員会に委ねている。
産業界としては、いつまた「脱原発」の風が吹かないうちに、急ぎ再稼働への道筋をつけてしまいたい思惑もありそうだ。