自民党の地滑り的勝利で終わった2012年12月の衆院選で、有権者が参考にしたのが新聞やテレビの情勢調査だ。世論調査や情勢調査は「実態を反映していない」との指摘も根強いが、いざ投開票してみると、おおむね正確だった。
それでも、投票所の混雑ぶりに反して投票率が低かったことから、ツイッター上では「不正投票」などと陰謀論もくすぶっている。
NHKの方が民放よりも幅をとって議席を予測
今回の衆院選での確定議席数は、
「自民党294、公明党31、民主党57、日本維新の会54、みんなの党18、日本未来の党9」
だった。結果として、自民党は単独で過半数(241議席)を上回り、公明と連立した場合は、参院で否決された法案を再可決できる3分の2(320議席)以上を確保した。
これに対して、テレビ各局の特番で20時過ぎに発表した議席予測では、例えば自民党については、民放各局は293~299を予測。民主党59~65と、おおむね正確だ。NHKは自民党の場合で275~310と幅を持たせており、やはり実際の開票結果と一致している。
これらの予測は、出口調査の結果に、選挙区ごとの取材結果を加味してはじき出されたものだ。
では、公示後に新聞各紙が行った世論調査についてはどうか。
終盤の12月14日の1面を見比べると、
「自民党が単独過半数ラインを超えて280議席以上をうかがう」(朝日新聞)
「単独過半数(241議席)を突破するのは確実な情勢」(日本経済新聞)
と、実際の開票結果に沿った内容だ。民主党については、
「民主は80議席を切る可能性がある」(朝日)
「70議席を割り込む可能性もある」(日経)
と、実際の結果よりも多めに予測している。
選挙戦進むにつれて「民主劣勢」強まる?
序盤の12月6日1面に掲載された調査結果でも傾向はほぼ同じで、朝日を例にとると、自民272議席、民主81議席と予測していた。選挙戦が進むにつれて、「自民有利、民主劣勢」という傾向が顕著になったことがうかがえる。
いずれの調査でも、
「無党派層の5割は投票する候補を挙げていない」(読売)
といったように、情勢が流動的だという「断り書き」がある。それでも、開票結果が庁結果と大きな違いがなかった背景には、小選挙区の確定投票率が前回09年よりも約10ポイントも低い59.32%と、戦後最低だったこともあるとみられる。
投票日には、ツイッター上では投票所の混雑ぶりを指摘する声も相次いでいた。それにもかかわらず、投票率が低かったことから、一部では「民意が反映されていない」「不正選挙だ」といった裏付けのない話も流布されている。
だが、都内では衆院選の小選挙区、比例区、都知事選、都議補選、最高裁裁判官の国民審査の5種類の投票が行われたケースもあり、混雑しているように見えたのは、単に投票に手間取って「渋滞」していただけだとの見方が有力だ。
なお、韓国では12月19日に大統領選が投開票されるが、投票行動に影響を与えるとして、12月13日以降の調査結果は公表できない。韓国メディアが同日発表した世論調査の結果では、いずれも与党・セヌリ党の朴槿恵(パク・クネ)候補が、野党・民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補を3ポイント程度上回る支持を集めている。