世界の温暖化対策、熱気冷める 日本の発言力は著しく低下

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解散総選挙で作業ストップ

   そんな中で、京都議定書の締結を議長国として主導した日本は影が薄く、新枠組みづくりの議論での発言力は著しくて低下した。3年前、鳩山由紀夫首相(当時)が「温室効果ガス排出量を2020年に90年比25%削減する」と国際公約したが、これは「2030年に原発比率を約50%に引き上げ」という従来のエネルギー基本計画が前提。福島第1原発事故を受け、民主党政権は今年9月、「2030年代に原発ゼロ」にかじを切ったが、これでは2020年の温室効果ガス削減幅は1990年比5~9%にとどまることになる。このため、新たな温暖化対策が必要になるが、解散総選挙で作業はストップ。COP18の閣僚級会合で演説した長浜博行環境相は、25%減に代わる新たな公約に言及できず、中国代表団幹部に「原発事故があったからといって削減義務はなくならない」と皮肉られたほどだ。

   総選挙でも、温暖化対策への関心は低く、政策論議を深めようという機運は乏しい。

   民主党は「温暖化ガスを2030年に1990年比2割削減」と現行目標に近い数字を残すが、具体的な対策は見えない。自民党は削減目標の見直しを掲げるものの、2020~30年の数値はなし。以前から脱原発を主張してきた共産党や社民党は20年に90年比25~30%減の目標を掲げ、公明党も30年に25~30%減の目標を打ち出しているが、「卒原発」を掲げる日本未来の党をはじめ日本維新の会などの「第三極」は温暖化対策には言及していない。

   世界自然保護基金(WWF)はホームページで、COP18の「遅々とした議論」に強く懸念を抱くとして、「次回以降の会議では、国内での議論を十分に行なった上で参加し、交渉を加速していくことが、世界全体に求められています」と訴える。

   原発を巡る議論を含め、日本の政治状況は、世界の期待にどこまで応えられるだろうか。

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