「JASRACから謝罪の電話がありました」
著作権を管理する側は、雅楽をどうとらえているのか。文化庁に取材すると、「一般論として」と前置きしたうえで、古来より伝わる作品であれば著作権保護期間から外れているとする。一方、場合によってはオリジナルの作品を一部編曲した「新曲」が演奏されたのではないか、と考えることもある。例えば公演用として特別に曲にアレンジが加えられれば、古典作品とは「別物」と扱われるわけだ。管理担当者が実際に演奏会に足を運んで見聞きしたわけではないので、古典か新作かは区別できない。そのために岩佐さんに問い合わせが入った可能性はある。
だが岩佐さんは、「西宮の演奏会での演目は、すべて古典。JASRACを名乗る男性からの電話の際も、伝統作品をアレンジした『新曲』が世に出ているが、私は『古典こそ雅楽』というポリシーがあるので(編曲された作品は)演奏していないと説明しました」と話した。
JASRACには、同団体が管理している作品をネット上で検索できるシステムがある。これを使って、岩佐さんの西宮公演での演目を調べてみたが、JASRACへの「信託状況」は消滅しているか、該当データが見つからないかのいずれかとなった。こうなると岩佐さんが指摘したとおり、演目はすべて古典作品ということが考えられる。
J-CASTニュースはJASRACに、今回の件で見解を求めるため電話取材を試みた。広報担当者は、岩佐さんの件についてインターネット上で話題になっていることを把握している様子で、「詳細に関しては現在、内部で調査中です。詳細が判明したら明らかにいたします」と話すにとどまった。
13日夕方になって、岩佐さんがJ-CASTニュースに「JASRACから謝罪の電話がありました」と明かしてきた。「行き違いがあったようです。私も、特に怒っているわけではありません」。