選挙に「マニフェスト」(政権公約)という言葉が一般的に使われるようになって10年近く経ち、マニフェストの評価も盛んに行われるようになっている、2012年12月16日投開票の衆院選に向けたマニフェストの評価結果も公表が始まっているが、評価団体によると、各党とも「理想にはほど遠い」状態。だが、自民、公明、民主といった政権担当経験のある政党の方が、相対的には評価が高いようだ。
11の政策項目を2つの観点で点数化
政党の政権公約の評価を行っている民間団体の「言論NPO」(工藤泰志代表)は12月10日、衆院選に候補者を擁立している12政党のマニフェストを独自の基準で評価した結果を発表した。評価は2段階で行われた。まず、マニフェストの中に数値目標や達成時期、財源が記されているかを示す「本気度」を評価した結果として、上位の民主、自民、公明と未来の党に加えて、注目度が高い日本維新の会の5党を選抜。この5党について11の政策分野ごとに、公約の検証可能度を測る「形式要件」と、課題解決策の妥当性や実行するためのガバナンスを評価する「実質要件」の2つの観点で点数化した。
11分野のうち、民主党は、「社会保障」「財政再建」「原発・エネルギー」の3項目では自民党よりも高い評価を受けたが、残りの「外交・安全保障」「震災復興」「教育」などの8項目では自民党が高い評価を得た。
総合点で見ると、100点満点のうち、最も高い自民党でも39点だった。2位以下は、民主党32点、公明党28点、維新の会16点、未来の党は7点だった。
言論NPOでは、いずれのマニフェストについても
「理想にはほど遠い」
と評価。だが、相対的に見ると「第三極」よりも、政権を担当したことがある自民、民主、公明は高めの点数が出ている。この点については、
「体制が整っているかどうかという点で、ガバナンスの面で差が出ているのではないか」
としている。
ただし、この評価については、政権を取ったことのない政党に、政策面で厳密な公約を求めるのは酷だとの指摘もある。
「豪華さ」「デザイン力」では「みんな」が健闘
ただし、政策以外の観点で評価すると、違った結果が出るようだ。首都圏では12月11日に発売された「フラッシュ」12月25日号では、「豪華さ」や「デザイン力」で評価。40点満点で最も評価が高かったのが自民党の32点で、2位はみんなの党が30点と健闘。渡辺喜美代表の写真の使い方が「顔がでかくて表紙が目立つ」と評価された。3位以降は、民主党(29点)、共産党(19点)、未来の党(18点)、日本維新の会(同)、国民新党(同)が続いた。