男たちの自立 被災者が日曜大工クラブ結成【岩手・花巻発】

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息の合ったチームワークで椅子作りに取り組む避難者の皆さん=花巻市一日市のゆいっこ事務所で
息の合ったチームワークで椅子作りに取り組む避難者の皆さん
=花巻市一日市のゆいっこ事務所で

(ゆいっこ花巻;増子義久)

   「本格的な冬を前に家の中に閉じこもりがちの男たちを引っ張り出そう」―花巻市内に避難している被災者を中心に「日曜大工クラブ」(8人)がこのほど結成され、その初仕事が8日に行われた。棟梁格は釜石市から避難している小川勝男さん(68)で、この日は4人が集まった。


   内陸避難者が気楽に集える公的な場所がないため、ゆいっこ事務所内(市内一日市4-21)に10月初めにオープンした「ゆいっこカフェ」の内部改装を手がけることにし、まずはカウンターに並べる木製の椅子作りに取り組んだ。「下手の横好き」と小川さんは謙遜したが、頭の中の設計図通りに木目の美しい椅子2脚が数時間のうちにでき上がった。


   材木を切る人、紙やすりをかける人、ネジで固定する人…。大槌町出身の新里利久さん(65)ら4人のチームワークも抜群。「女たちの手芸作りに負けてはおれない。木工製品を作ってバザーで販売するなど男たちの自立につなげなくては…」。手を動かしながらもみんなの話題はやはり、昨夕の三陸沖地震のこと。


   「あの悪夢がすぐに頭をよぎった。沿岸の仮設に住む親戚や知人に電話をかけまくって無事を確認した。余震はまだ続くらしい」と心配そう。小川さんは花巻市内に移住するため、すでに中古住宅を購入した。「ふるさとに戻りたい気持ちと花巻移住の狭間でいつも気持ちが揺れ動いている。内陸自治体が移住者用の復興住宅を建設してくれるというなら話は別だが…」と新里さん。


   あの大震災から間もなく丸2年―。終(つい)の住まいをどこに定めるべきなのか…。今回のような余震におびえながら、内陸避難者の苦悩はますます深まりつつある。



ゆいっこ
ゆいっこネットワークは民間有志による復興支援団体です。被災地の方を受け入れる内陸部の後方支援グループとして、救援物資提供やボランティア団体のコーディネート、内陸避難者の方のフォロー、被災地でのボランティア活動、復興会議の支援など、行政を補完する役割を担っております。
ゆいっこは、「花巻」「盛岡」「北上」「横浜」「大槌」の各拠点が独立した団体として運営しておりますが、各拠点の連携はネットワークとして活用しております。
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