政治家や知識人への批判や「かみつき」で知られる経済評論家・池田信夫さんが、またまた物議を醸している。総選挙の投開票を目前に控え、独自の「IQ」値によって各政党のトップをランク付けしたのだ。
ネット上では高い人気を誇る自民の安倍晋三総裁が最下位だったこともあって、「政治家とIQは無関係」「選ぶ側のIQの低さが分かる」といった批判が相次いでいる。
「公約なんか信用できないから、政治家はIQで選ぶしかない」
池田氏が2012年12月8日午後9時41分に投稿した問題のツイートは次のような文章だ。
「公約なんか信用できないから、政治家はIQで選ぶしかない。 その点では、橋下>野田>小沢>渡辺>>>>>>>>>>>>>>>安倍かな。」
池田氏といえば、これまで多くの大学教授や評論家、政治家とネット上などで論争を繰り広げてきた。ウィキペディアでは「人を罵ることでもよく知られ」と紹介されており、原発事故での放射能漏れをめぐって中部大の武田邦彦氏などを強烈に批判したほか、電力供給体制に絡んで12年春に勃発した大阪市長、橋下徹氏とのツイッター論争では、互いに「無知だ」「もの知りレベルにすぎない」と言い合った。
総選挙公示後で投開票の8日前というタイミングでのこのツイートは、池田氏ならではの発言ともいえるが、なぜ橋下氏がトップで安倍氏が最下位なのか。
そもそも政治家のIQなど池田氏が知るはずもないのに、「拡散」を承知の上で何を根拠にこうしたランキングを約1万4000人のフォロワーに発信したのか。
池田氏「安倍氏の経済政策は無責任」
池田氏のブログやツイッターにざっと目を通したところ、同氏は実は、橋下氏が12年5月末に大飯原発の再稼動を容認した段階で「君子豹変す」と評価を改めていたのだ。別分野では批判の手を緩めてはいないものの、ブログではそれ以後「橋下氏は地方の首長としてはカリスマ性も実行力もあり」など手腕を認める記述が増し、ツイッターでは橋下氏の発言を「リツイート」する回数が増えていた。
自らの批判や指摘に対してツイッターで一つ一つ反論してくる橋下氏の姿勢を「こんな政治家はこれまでいなかった」とも記していた。
一方、それまでほとんどノータッチだった安倍氏をめぐっては11月中旬以降、同氏がデフレ脱却策として大幅な金融緩和を打ち出したことから批判の記述が急増する。ブログのタイトルを紹介すると、「安倍氏の無責任な経済政策」「暴走する安倍氏」「安倍氏のためのインフレ入門」などと続き、ツイッターでも「『日銀がお金を配ればデフレは解決する』という夢みたいな話を自民党総裁が信じるほど日本の政治は劣化したのか」「お金を配る安倍路線は邪道」と書いている。
ランキングはこうした経緯を含めた極めて主観的な順位付けとみられるが、安倍ファンが多いネットユーザーらの反発は強い。
「政治家はIQではなく人徳や人格」「IQなら鳩山が最強」
「学歴とかIQとか、池田氏は劣化したな」
「人をランク付けする前に自分のIQを明かしなさい」
「自分はIQ高いと思っていそうだ」
「これは名誉棄損か、侮辱罪に当たるのでは」
池田氏独自のランキングがツイッター上に流れると間もなく、こうした反論が次々にツイートされ、ネットの掲示板などには多くのスレッドが立ち上がった。
多数を占めたのは、
「政治家はIQではなく人徳や人格」「政治家をIQで選べば鳩山兄弟が最強だろうけど、懲りたはず」「IQとか言ってる時点で池田氏、頭悪そう」
といった意見で、各党首の最終学歴を示した上で
「IQなら早稲田卒の橋下より東大卒の福島みずほ、志位和夫らのほうが上」「IQって学歴のこと言ってるのか」なども多かった。
また、根強い安倍ファンからは「政治家としての信頼感ではこのランキングは全くの逆」「ろくでもない松下政経塾出身より安倍ちゃん推し」といった声が寄せられていた。