「難病対策要綱」から40年 「新法」望む声こだます

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   2013年春から国の難病対策が大きく変わろうとしている。そんな中、難病・慢性疾患フォーラム2012」が12年11月24日、東京で開かれた。10年から始まり、3回目のフォーラムには、全国から82の難病・患者団体など137団体450人が集まった。

当初の医療補助は4疾患だけ

   国の「難病対策要綱」は1972年、難病の調査研究、医療施設の整備、医療費自己負担補助から始まった。しかし、当初は研究が8疾患、医療費補助は4疾患。年々、数が増え、今では対策130疾患、研究234疾患、医療費補助56疾患になっている。しかし、似たような症状でも病名が違えば扱いが異なる。

   11年12月、厚生労働省の難病対策委員会は、より公平、公正な難病対策の必要性をまとめた。これにもとづき、超党派国会議員団の支援を得て来春から改革、さらに立法化する動きが進んでいる。

   そうした時期に当たったフォーラムでは、病状も、置かれた状況も異なる患者たちの叫びがこだましあった。胆道閉鎖症の女性は1986年、8歳の時、米国で肝臓移植を受けながら、米国人提供者の遺伝子異常からの肝臓病になり2度目の移植が必要な状態。免疫抑制剤などの影響で何度も入退院をくり返し、「移植しても治らない苦しさ」を訴えた。

   男性は20代、女性は10代後半の発病が多いクローン病の男性は就労して社会参加することの難しさを述べ、難病でも働きやすい社会を要望した。慢性関節リウマチの女性は、患者数が多いとの理由でこれまでは難病対策の網からこぼれてきたが、そうした患者の苦悩を、また患者の 8割が日本人というウェルナー症候群の女性は日本での研究の推進を、それぞれ訴えた。このほか、別の患者会代表からは「既存の有効な薬や方法が使えない状況がある」「障害程度区分を見直してほしい」などの要望も出された。

   実行委員長の伊藤たてお・日本難病疾病団体協議会代表理事は「違う難病の患者が意見を出し合うことで予想外の問題や観点が見えてきた。国の難病対策の変わり目のいま、すべての国民が暮らしやすい社会を作るため難病患者が先頭に立とう」と呼びかけた。

   フォーラムでは「患者の声が反映された難病新法の一日でも早い成立を望む」とのアピールが採択された。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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