生産調整に従っていないと戸別所得補償はもらえない
農水省は毎年11月末、来年度産米の生産数量目標を決定し、都道府県に通知する。各都道府県は配分ルールを決め、市町村を通じて最終的に各農家の配分を決める。これが生産調整(減反)だ。もちろん、現在の農家は市町村が定めた生産調整に必ずしも従う必要はない。減反しなくてもペナルティーはないからだ。たくさんコメを作って、独自のルートで売れるのであれば問題はない。
しかし、生産調整に従っていないと、民主党政権で始まった戸別所得補償はもらえない。戸別所得補償は生産調整を行うコメ農家に10アール当たり1.5万円の交付金を支給するほか、不作となった場合に農家の所得を補償する制度などもある。
生産調整は主食米が対象となるため、コメを生産したい農家は加工用米や家畜のエサとなる飼料用米、米粉用米などを作れば問題はない。民主党政権はコメ余りを回避する一方、食料自給率を引き上げるため、これら主食用以外のコメを生産するよう農家を誘導しており、戸別所得補償制度では主食用米よりも高額の交付金を支給している。農家が水田でコメを作るのをやめ、麦、大豆などへ転作することも促しているが、いずれにしても食料自給率の向上には結びついていないのが現実だ。