興味のあるテーマについて、インターネット上にある関連リンクや画像、動画をひとつのページに集約、紹介する「NAVERまとめ」。ページ作成者へのサービスとして、運営側が報奨金を分配する「インセンティブプログラム」を設けている。
しかし多くの収入を得ようとするあまり、悪質な「アクセス稼ぎ」が増えているという。運営側のNHN Japanは、ルールの変更に踏み切った。
「アクセスの量より質を加味して判断する」
「インセンティブプログラム」が始まったのは、2010年11月11日。個々のまとめ記事へのアクセス数を基に付与する独自の「ポイント」の総数に応じて、作成者に一定額を支払う。当初はNAVERまとめ全体の広告収益総額を原資としていたが、現在では「固定レート制」を採用。1ポイントあたりのレートが0.2円に定められた。加えて、優秀なまとめ作成者を対象とする「奨励金制度」も設定。過去にまとめ作成歴がないにもかかわらず高い成果を出した「ルーキー」はレートを0.4円に、中長期にわたるまとめ作成歴と高い実績を続ける「レギュラー」は0.7円として一般ユーザーより多く分配金が得られるようにした。
ユーザーにとっては、「人気のまとめ記事をつくろう」と励みになるだろう。ところが、インセンティブ目当てに「アクセス数を増やすことに終始した利用や不正行為が散見される」ようになったとして、NHN Japanが2012年12月5日、プログラムの見直しを発表した。大きく影響するのが、ポイント付与の際の評価法だ。
同じ「1回のアクセス」でも、NAVERまとめの他の記事からの流入は、これまでより評価が大きく下がる。これは、同じ人物が機械的に大量のまとめ記事を作成したり、まとめ記事内に別の自作記事へと誘導するリンクを並べたりする事例が出ているためだ。一方、外部の交流サイト(SNS)からまとめ記事にアクセスが飛んできた場合は、評価が大きくアップする。純粋に興味を持ったユーザーからの訪問とみなされるのだろう。ページの滞在時間については、短い場合は評価が低くなる。
NHN JapanはJ-CASTニュースの取材に、「今後はアクセスの『量』に限らず、『質』を加味して判断する」とこたえた。これまでも1回のアクセスがそのまま1ポイントに換算されたわけではないが、今後は閲覧者がどこから来たか、どのくらいの時間滞在したかといった点が今まで以上に重視される。
1か月で「万単位」を手にするユーザーも
確かにNAVERまとめの記事の中には、「まとめ」とは言えないほど情報量が貧弱だったり、逆に膨大な情報が散らばっているだけで収拾がつかなくなっていたりするページが見られる。中には、ネット掲示板の掲載内容と閲覧者からのコメントをそのまま転用してつくっているものもあった。今後これらはインセンティブの対象から除外される。なお「奨励金制度」でも、一部改編が行われた。
「インセンティブプログラム」では、どれほどの収入が期待できるのか。NAVERまとめには、ユーザー自身の経験談が複数紹介されていた。ある人物は、1日目に4本のまとめ記事を作ったところ、この日の報酬「見込額」は5円。以後、記事が閲覧された情報や報酬額を毎日リポートし続け、悪戦苦闘している様子がうかがえる。開始26日目の時点で、見込額は1613円だった。
NHN Japanに確認したところ、報酬の支払いは3000円を下限としているが、仮にいったん確定した金額が3000円に満たなくても3000円に達するまで留保されるという。記事の掲載が継続している限りは、支払い対象になるとの説明だ。
比較的成功しているユーザーもいる。2012年3月の1か月間でまとめ記事を11本つくり、合計6万円超の報酬を確定させ、「証拠」となる金額の記録も公開している。ほかにも「自己申告」にとどまるが数万円を稼いだというリポートが上がっていた。