制作とファンが望む限り「エヴァ」は永遠に完結しない
作画と声優の複合でキャラクターは作られるが、生身の役者に比べ、自由で強い感情移入を視聴者に促す。また、テーマやモチーフが無くても、視聴者がそれぞれ勝手に頭の中でストーリーを作っていく。
「彼らは欲しいものは、演出の介在など無視してでも必ず手に入れるのです。『エヴァ』に関して言うなら、作り手と受け手の予定調和的な共犯構造が『みんなでシアワセになる』ことを可能にしている」
テーマやモチーフがないわけだから、作品の落とし所(終結)があるはずはなく、製作者側とファンが望む限り、「エヴァ」は永遠に終わらない、と皮肉とも受け取れる発言をしている。
押井監督はこうしたヒットの構造には否定的で、
「私個人としては、その特殊構造内に生きることは、はっきりと表現者としての停滞であると確信しておりますので、遠慮しておきます」
と結んでいる。
押井監督のメールマガジンはネットで大きな話題になっていて、
「庵野信者は未だに、エヴァには深いテーマやドラマがあると信じているよ」
「押井のいうことはよく分かるが、エヴァは面白いからそれでいいんじゃないか?」
などと議論が盛り上がっている。