中央自動車道・笹子トンネルの事故により上下線の一部通行止めが続いているため、周辺地域への影響が出始めている。現場となった山梨県や隣の長野県では、これから冬にかけて温泉やスキー客への出足を心配する声がある。
物流面では、お歳暮シーズンを控えて今後大幅に増えそうだ。業者はう回ルートで何とか対応しているが、復旧まで長引けば影響の拡大が避けられない。
渋滞やう回による時間ロス「予定が立てにくくなる」
事故発生以降、中央道では上り線が一宮御坂IC~大月JCT、下り線でも大月JCT~勝沼ICで通行止めが続いている。中日本高速道路によると、開通のめどは立っていないという。各種報道では、トンネルの天井板が崩落した上り線は復旧が年明けまでずれこみそうで、下り線も点検作業のため1週間程度はかかるのではと伝えられている。
年末年始や冬休みと、観光シーズンの「かき入れ時」を迎える地元の山梨県にとっては、通行止めの長期化は頭が痛い。県観光部に取材すると、「甲府方面へ向かう観光客への影響が気になります」と話す。一宮御坂ICからほど近い石和(いさわ)温泉では、予約のキャンセルがあったとも報じられた。山梨では温泉が冬の観光の目玉だけに、「下り線が早く復旧して対面通行が可能になるようなら、少しは(観光客離れを)抑えられるかもしれません」と願う。
現状では東京方面へ向かう場合、中央道とほぼ並行する国道20号か、一宮御坂ICから国道137号で河口湖方面へいったん南下し、その後国道139号か中央道富士吉田線に乗って大月JCTへ回るしかない。だが国道20号は大幅な渋滞増が予想され、国道137号による「南回り」では時間のロスが大きくなる。県観光部は、「渋滞や、余分な時間がかかるようでは外出の予定がたてにくくなり、観光を敬遠されるのを懸念しています。う回ルートが混雑すれば、ほかの観光地へのアクセスにも支障が出るかもしれません」と心配の種は多い。
長野県では、12月初めにスキー場が一部オープンして本格的なスキーシーズンが始まった。有名な温泉地も多い。県観光振興課はJ-CASTニュースの取材に、「今のところ大きな影響があったとは聞いていません」とする一方、今後については「早めの道路開通が望ましいのはもちろんですが、心理的に『事故があったトンネルは危ない、通りたくない』といった風評が広がり、訪問者が減ると困ります」と懸念を示した。