「サプライズ政策」に期待するが…
前出の大和証券シニアストラテジストの由井濱宏一氏は、「中国経済は2012年第3四半期まで、7四半期連続で国内総生産(GDP)の成長率が鈍化しています。格差社会への不満があることは確かですが、その一方で大胆な成長政策を打たない政府と共産党への失望感もあります。いまの株価は底値圏にあると思いますが、よほどのサプライズがなければ、そう簡単には回復しないでしょう」と、分析する。
「よほどのサプライズ」とは、たとえばリーマン・ショック後に4兆元を投じたような大胆な景気刺激策や金融緩和策だ。
とはいえ、政府としてはそこにはふれたくない。再び不動産バブルが起こり、「格差」が拡大する恐れが生じる。「政府は格差是正、つまり経済成長の追求から富の分配見直しに舵を切ったわけですから、格差縮小を優先しないと(政府と共産党の)存亡にかかわってきます。結果的に『サプライズ』はなくなり、株式市場全体が上昇していくことは厳しいといえます」(由井濱氏)と、どうにも手の施しようがないようでもある。
ちなみに、上海総合指数の最高値は5年前の共産党大会の期間中に付けたものだった。