エレベーター事故がとまらない 安全を担保する「お墨付き」ないのか

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「安全マーク」は人が乗り降りする昇降機対象

   2009年9月の建築基準法施行令一部改正により、エレベーターの駆動装置や制御器に故障が生じ、かごや昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降するのを自動的に防ぐ「戸開走行保護装置」と、地震発生の際に自動的にかごが昇降路の戸の位置に停止して、扉が開くようにする「地震時管制運転装置」の設置が義務付けられた。それぞれ設置されていることがひと目で利用者に分かるようにと、国土交通省では「エレベーター安全装置設置済マーク」を表示する制度を設けた。このマークが張ってあれば、安全面で一定の目安となろう。ただし、表示は任意だ。

   マーク表示に関連する手続き業務を行う建築性能基準推進協会に聞くと、対象となるのは乗用エレベーターで、大型の荷物を載せる際に人も乗り降りするような業務用エレベーターも含まれるという。逆に荷物専用で人が中に入らない小型のものは、対象外だ。

   建築基準法施行令によると、「水平投影面積が1平方メ-トル以下で、かつ、天井の高さが1.2メートル以下」の「小荷物専用昇降機」もエレベーターの一種であり、乗用と多少の違いはあるが安全装置の設置など基本的な対策が法的に求められる。だがマーク表示のような仕組みがないと、利用者にとっては本当に安全かどうかを知るのは容易ではないだろう。

   戸開走行保護装置の設置についても、対象はあくまで建築基準法施行令改正以降のエレベーターに限られる。2012年10月31日、石川県金沢市のホテルで起きたシンドラーエレベータ社製による死亡事故では、2006年の事故と同型のエレベーターによって悲劇が繰り返された。この型のエレベーターは法改正前に製造されたため、装置設置義務の対象から外れていたというわけだ。

   乗用、業務用ともに事故が続き、利用者としては「このエレベーターは安全」という「お墨付き」が欲しいところだろう。だが現時点では、「定期的に保守点検が行われて問題がないはずだ」と信頼して使う、あるいは乗り降りの際に神経質に周りを見渡して自分で安全を確認するしかないのかもしれない。

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