証券・保険もデリバティブなどを通じて銀行と密接につながっている
そもそも公的資金注入は、銀行や信金などが破綻すると、代金支払いなどの決済機能がまひし、国民生活に重大な影響を及ぼすことから発動できるというのが大原則。2003年のりそなホールディングスの救済では、2兆円近い公的資金が投じられた。これに対し証券・保険は、決済機能がないことから対象外とされてきた。しかし、実態としてはデリバティブなどの取引を通じて銀行と密接につながっていて、市場を通じて危機が広がる恐れがある。2008年秋に米大手証券リーマン・ブラザーズがつぶれた際、デリバティブの価格が急落して市場が大混乱し、米保険大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)をはじめ名だたる大銀行や保険会社が経営危機に陥り、危機は世界に連鎖した。
この反省から、20カ国・地域(G20)は昨年秋、「秩序ある破綻」に向けた安全網の構築で合意し、日本も対応を迫られていた。金融庁の今回の提案は、これに応えるものだ。