本当に若者の投票行動に変化がおこるのか
ところが、「インターネットが変える選挙」(慶應義塾大学出版会)の共著者で、政治コミュニケーションのデータを使った分析に取り組む国立情報学研究所の小林哲郎准教授に話をきくと、「劇的な変化はないでしょう」。いったいなぜなのだろうか。
「近年の投票率の上昇は、期日前投票の拡充や、投票時間の延長など、制度改革による面が大きい。ネットではすでにかなりの政治活動がおこなわれているので、公示後の選挙運動が解禁されたとしても、上乗せ効果はないと思います」
ここ1、2年、ツイッターなどの利用者が飛躍的に増加し、候補者と双方向でやり取りする機会も増えたが、
「候補者をフォローするような政治的関心の高い層は、すでに投票に行っている。解禁したとしても、投票率向上に直接的に貢献するとは考えづらい」。
さらに、「基本的にはネットでは人は見たいものしか見ない」と小林准教授は指摘。その上で、政党、党首や候補者による「垂直型」のソーシャルメディア利用は、「もともとある支持を固める効果はあるかもしれませんが、反対勢力を切り崩し、新たな支持を獲得するのには弱い」との考えを示した。