牛丼チェーン各社の値下げ合戦も並盛り280円で終わりを迎えたと思われたが、またぞろ250円に値下げする店舗やキャンペーンが現れた。どうしても安値で競う呪縛から抜けられないようだ。
今回の動きについて、牛丼以外の丼や定食メニューなどの充実が進んでいて、各社ともそこから利益を得る体制が整ってきた、牛丼はもはや値引きによる客寄せのための「囮(オトリ)商品」に変わったと考えている人もいる。
すき家は「3億人突破」記念で値下げ
「すき家」を展開するゼンショーは、全国約1880店舗で2012年12月5日から10日にかけ、牛丼の並盛りを30円安い250円で販売すると発表した。そのほかの牛丼全品も30円引きにする。今年1月からの入店客が3億人を突破した記念としての施策だ。昨年はこうした値下げキャンペーンを度々行っていたが、今年の場合は4月以来となる。
吉野家は今年10月に、通常並盛り380円で販売している牛丼と同じものを250円で販売する店「築地吉野家」を都内に2店舗オープンさせた。吉野家の広報によれば、あくまでこの2店舗は実験店だが、250円という価格にお客がどう反応するか、収益面ではどうなのかを見定めた上で、「築地吉野家」の多店舗展開と、既存店メニューの価格変更などを検討している。
牛丼チェーンの値下げ競争が激化したのは09年12月からで、それまで並盛り380円程度で売られたいたものが、10年4月には期間限定ながら「松屋」と「すき家」は最安値の250円、「吉野家」も270円になった。他社と同じように値下げしなければお客が集まらないという恐怖感から、こうしたキャンペーンは度々行われ「泥沼の値下げ競争で共倒れか?」などとメディアを賑わした。
それが落ち着いたのは今年春からで、各社ともに牛丼以外の新メニューを相次いで投入し、「すき家」は並盛り680円の「牛トロ丼」、同480円の「海鮮中華丼」など毎月のように新商品を発表。特徴的なのは、牛丼よりも価格が高いこと。そして、牛丼と同じ価格帯の商品は殆ど無くなっている。
「商品の幅を広げているのは、全ての年代のお客様にご提供できるラインナップ作りと、すき家で1日3食を食べていただいたとしても満足いただける体制作りです」
とゼンショーの広報は説明する。