晴れの結婚披露宴で新郎新婦が、ケーキ入刀ならぬゲーム粉砕――。恋愛シミュレーションゲーム「ラブプラス」のデータがハンマーで破壊される様子をとらえた写真がツイッターに投稿され、話題となった。
たとえゲームでも、新郎に「カノジョ」がいるのは許せないということだろうか。「そこまでしなくても」との声もあるが、新婚の男女に聞くと「やっぱり気になる」との意見も出た。
「どの女の子を選んだか気になります」
「ラブプラス」では、プレーヤーがゲーム内の「カノジョ」と恋人生活を楽しめる。2009年の発売以降シリーズ作品が次々とヒットを飛ばし、ゲーム内で旅行先の舞台となった静岡県熱海市では、2010年にイベントが開催されて多くのファンが詰め掛けたほど人気は高い。
ツイッター上で2012年11月24日に紹介された、ひと組の結婚披露宴は、このラブプラスが「主役」となっていた。投稿した友人らの書き込みを見ると、新郎がラブプラスのファンで、招待客の中にはラブプラスの3人の女の子キャラの名前があり、わざわざ席も用意されていたという。テーブルにはゲーム機が置かれ、画面に女の子キャラが表示されている凝りようだ。
ところが、その後に投稿された写真には、新郎新婦がひとつのハンマーを握り、ゲーム機ごとラブプラスの保存データを叩き壊している様子が写っていた。出席者とみられる人たちの書き込みは、「披露宴サプライズ企画」「三回叩いたけど、途中で新郎が泣きそうだった」となっていた。
ゲーム好きの新郎が大切にしていたラブプラスのデータを、披露宴の席でわざわざ壊した理由は何なのか。新婦への誓いとして、ゲームとはいえ「カノジョ」に「別れ」を告げる儀式だったかもしれないが、真相は分からない。ただ、一連のツイートを見た人たちからの評判は芳しくなかった。物理的にゲームを壊すという行為自体が不快、という内容が多く、中には「過去に思い出を共にした相手と会うことを一切許さないために現実から抹消するわけで」ととらえた意見もあった。
実際に結婚したら、ゲームの世界でも相手が「異性と交際」するのは許せないものか、新婚の人たちに聞いてみた。2012年10月に結婚した30代女性は、夫婦ともゲームはやらないと前置きして、「もし主人がラブプラスにのめり込んだとしたら、どの女の子を選んだか気になります」と話す。ゲームの設定が高校生ということで、「昔の交際相手の写真を見るような、『ああ、こういうタイプが好きなんだな』となりますね」。ただ、よほどゲーム内の恋愛にのめり込まない限り「やめてほしい」とは思わないそうだ。
ゲームキャラに「感情移入」我慢ならない
一方で別の30代女性の場合、2人で共に過ごしている時間以外であれば「恋愛シミュレーションゲームをやっていても構いません」と言う。一方で、ゲームの種類を問わず時間無制限でプレーを続けたり、課金型にはまって大金を投じたりするような遊び方は困るそうだ。「結婚披露宴にゲームキャラを招待」「ゲームデータを破壊」というのは「私自身はちょっと考えられないし、なにも壊すことはないのでは」と首をかしげた。
逆に、結婚間もない妻が恋愛シミュレーションゲームに夢中になったら夫はどう考えるだろうか。10月に結婚式を挙げた20代男性は「イヤですね」と苦笑する。ある種の「やきもち」かもしれないが、ゲーム内のキャラに深く「感情移入」されるのが我慢ならないようだ。例えば男性アイドルの「追っかけ」をするのであれば、相手が「リアル」なのでまだ理解できるが、恋愛ゲームでは「対象がバーチャルなのに、どうしてそこまで入れ込めるのか、と呆れてしまうと思います」と明かす。
仮に自分がラブプラスをやっていたとしたら、「妻はきっと、いい気はしないのではないでしょうか」。