今でも全国で数十万は下らないとされる郵政票
ただ、金融庁を後押しするのは、「国の信用力を背景にした業務拡大は民業圧迫につながる」と郵政の新事業に抵抗してきた銀行や大手生保などの民間金融機関だけ。政権内では、樽床伸二総務相が民営化委の結論を受けて「11月中にも認可したい」と早々に早期決着を示唆するなど、容認論は郵政を支持基盤とする国民新党だけでなく、民主党内にも広がっている。
全国特定郵便局長会やJP(日本郵政)労組などを合わせれば今でも全国で数十万は下らないとされる郵政票。樽床氏の地盤の大阪12区は、民主の樽床氏のほか自民、日本維新の会などの候補が入り乱れて苦戦を余儀なくされているだけに、郵政の神通力は絶大という見方もある。
かんぽ生命は、学資保険の書き入れ時となる入進学時期の2013年4月までの新商品投入を目指す。パンフレット印刷などの準備があるため「遅くても年内の政府認可が必要」。だが、30日に郵政民営化法に基づく認可が下りたとしても、保険法上の認可がなければ商品は売り出せない。
今回の認可をめぐるバトルの背景には10月の内閣改造がある。郵政グループの「応援団長」である国民新党は、改造で郵政担当兼金融担当の閣僚ポストを郵政担当兼防災担当に変更され、金融相ポストを失い、中塚氏が金融相に就いた経緯がある。
元々、郵政担当相と金融相の兼務は「利益相反」(金融関係の学者)との批判も根強かった。一見、閣内不一致にも見える今回の論争だが「国民の前で堂々と議論するのは、密室で簡単に決まるよりよっぽどいい」(経済官庁幹部)と評価する声も聞こえる。