【Net@総選挙】 第7回
ソーシャルの危うい「草の根」 ネット世論踊らすのは誰だ?

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ネット発「脱原発デモ」に参加する候補者

   一方で、大手新聞などが肯定的に取り上げることが多い「脱原発派」。ツイッターなどのソーシャルメディアを通じて「自然発生的」に事態を憂える人々が集まり、「官邸デモ」に代表される大規模な運動を展開したと語られることが多い。

   今回の選挙でも引き続き、「選挙によって脱原発を実現しよう」と燃えている人が少なくない。

   ツイッターなどでは現在、何種類かの「脱原発候補者リスト」が拡散している。これまでの言動から、候補者たちの「脱原発」度を診断したものだ。脱原発派には高い評価が与えられる一方、たとえば石原慎太郎・前東京都知事などには「原発推進」の烙印が押される。「わかりやすい」「便利!」といった賞賛が集まるが、そのうちのあるリストは現職の地方議会議員が作成したものだ。ここでも、「プロ」と一般市民が交錯する。

   脱原発デモなどの参加者はネットで情報を知ったという人が多いとされる。7月30日の朝日新聞は、「官邸前抗議行動を何から知ったか」というアンケートで「ツイッター」が39%、「人づて」が17%、「ウェブ」が12%、「フェイスブック」が7%、テレビ7%、新聞6%という調査結果を紹介していた。この結果を見ると、「自然発生的」との見方を裏付けているようにも見えるが、「ツイッター」で発信し、「ウェブ」で告知して参加を呼びかけている仕掛人たちの実像は、この記事ではよく分からないままだ。

   今度の総選挙に、都内の、ある選挙区から立候補を予定している革新系の人物が最近配布しているチラシが、こうした疑問を多少「種明かし」する。

   そこには「脱原発デモ」の写真が大きくあしらわれているのだが、写真の中でプラカードを掲げているのは、候補者ご本人なのだ。ちなみにこの候補者は長年、革新政党の政治活動に携わる紛れもない「プロ」。普通市民によるソーシャルな「革命」ともいわれた脱原発デモに、抜け目なく既存の政治運動家が一般市民として入り込み、さらにそのイメージを「活用」している実態が、はからずも見え隠れする。

   手軽なツールになったネット。それをフルに使うことで、「政治のあり方が変わる」との期待も集まる。しかし現状では、ネットはすでに無色透明な場ではなく、様々な思惑を持つ「プロ」たちが入り込み、世間を操り踊らそうと知恵を絞っている。どうやらそうした「プロ」たちの背後には、さらにしたたかな「プロ」の政党や政治家の姿もちらつくようだ。

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