マヤの「滅亡」予言から人類を救う? 南仏の小さな村は「ミステリーゾーン」だった

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   人類が滅亡するともささやかれる2012年12月21日の「マヤ歴の終末の日」に向けて、南仏の小さな村に、救いを求める人々が大挙して押し寄せている。

   地層が逆転した不思議な山を持つこの村の一帯は、古くから「ミステリーゾーン」として人々の想像力をかき立ててきた。

   ジュール・ヴェルヌの冒険小説にも登場し、人気映画「ダ・ヴィンチ・コード」の舞台の一つにもなっていた。

異星人の乗った宇宙船が現れ、付近にいる人間を滅亡から救う?

   2012年12月21日迫ったマヤ文明の「終末の日」に向けて、フランスのラングドック=ルシヨン地方・オード県のビュガラッシュ村に救いを求める人々が大挙して押し寄せているそうだ。あまりの多さに、当局が村の出入り口を封鎖したと、フィガロ紙などが報じた。

   いったいなぜ、南米ではなくフランスの、しかも人口が200人程度の小さな村が「聖地」として人を集めているのだろうか。

   期待が寄せられているのは村にあるビュガラッシュ山だ。なんでも、終末の日に山頂が開き、異星人の乗った宇宙船が現れて、付近にいる人間を滅亡から救うのだという。村ではUFOの目撃情報が多数あり、アメリカではツアーも組まれている。最近ではフランス人カップルが異星人とのコンタクトに成功し、テレパシーによって2010年のチリ地震を予知したそうだ。

   このビュガラッシュ山、地層の年代を計ると上のほうが古く、下に行くほど新しくなるということで、「さかさまの山」との異名がついている。「地下世界への入口」ではないかとも長くささやかれてきた。

   20世紀前半、ダニエル・ベテックスという人物が周辺の発掘調査を試み、不審死を遂げた。彼は、旧約聖書におけるモーゼの「十戒」の石版が入った「契約の箱」を発見したと言われる。こうしたことから、村は「スピリチュアルな場所」として現代のオカルト好きの間に広まったらしい。

「ダ・ヴィンチ・コード」にも登場する「西洋史最大の伝説」

   実は、ビュガラッシュだけでなく、この一帯は「ミステリースポット」の集まる場所で、さまざまな創作の舞台となっていた。19世紀には「地底旅行」「海底2万マイル」などで知られる冒険小説家ジュール・ヴェルヌが、「クロヴィス・ダルダントール」(Clovis Dardentor)の中で、キリスト教の異端信仰・カタリ派や、テンプル騎士団の秘宝、聖杯伝説などにまつわるミステリアスな場所として描いた。

   この小説に登場するレンヌ・ル・シャトーという小さな村は、ビュルガッシュから12kmほど離れた場所に位置する。マグダラのマリアに捧げられた村の教会に、テンプル騎士団の残党による秘密結社・シオン修道会か、あるいはカタリ派の莫大な財宝が隠されていた、という「西洋史最大」の伝説があるそうだ。ダン・ブラウンの小説で映画にもなった「ダ・ヴィンチ・コード」の舞台の一つともなり、作中で教会は、聖杯、すなわちイエス・キリストの血を受け継いだ子孫を守るシオン修道会の隠れ蓑とされた。

   西洋史では、カタリ派の運動は12世紀ごろ、このラングドック地方で活発だった。13世紀から14世紀にかけてカトリックから異端とされ、アルビジョワ十字軍に撃破された。信徒たちは異端審問にかけられ処刑されたが、一部は山中や森に逃れ、各地へ離散していったという。史跡として、2つの村から北に約60km上ったところにある城塞都市・カルカッソンヌなどが残る。

   先にあげた伝説が本当かどうかは定かではない。シオン修道会に関してはまったくの捏造と言う説もある。ただ、こうした様々な「悲劇」や「負の記憶」が地域の人々の深層心理に刻印され、想像力をかき立てて、さながら「平家の落人」伝説のように連綿と語り継がれる中で「ミステリーゾーン」が生まれたのかもしれない。

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