マヤの「滅亡」予言から人類を救う? 南仏の小さな村は「ミステリーゾーン」だった

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「ダ・ヴィンチ・コード」にも登場する「西洋史最大の伝説」

   実は、ビュガラッシュだけでなく、この一帯は「ミステリースポット」の集まる場所で、さまざまな創作の舞台となっていた。19世紀には「地底旅行」「海底2万マイル」などで知られる冒険小説家ジュール・ヴェルヌが、「クロヴィス・ダルダントール」(Clovis Dardentor)の中で、キリスト教の異端信仰・カタリ派や、テンプル騎士団の秘宝、聖杯伝説などにまつわるミステリアスな場所として描いた。

   この小説に登場するレンヌ・ル・シャトーという小さな村は、ビュルガッシュから12kmほど離れた場所に位置する。マグダラのマリアに捧げられた村の教会に、テンプル騎士団の残党による秘密結社・シオン修道会か、あるいはカタリ派の莫大な財宝が隠されていた、という「西洋史最大」の伝説があるそうだ。ダン・ブラウンの小説で映画にもなった「ダ・ヴィンチ・コード」の舞台の一つともなり、作中で教会は、聖杯、すなわちイエス・キリストの血を受け継いだ子孫を守るシオン修道会の隠れ蓑とされた。

   西洋史では、カタリ派の運動は12世紀ごろ、このラングドック地方で活発だった。13世紀から14世紀にかけてカトリックから異端とされ、アルビジョワ十字軍に撃破された。信徒たちは異端審問にかけられ処刑されたが、一部は山中や森に逃れ、各地へ離散していったという。史跡として、2つの村から北に約60km上ったところにある城塞都市・カルカッソンヌなどが残る。

   先にあげた伝説が本当かどうかは定かではない。シオン修道会に関してはまったくの捏造と言う説もある。ただ、こうした様々な「悲劇」や「負の記憶」が地域の人々の深層心理に刻印され、想像力をかき立てて、さながら「平家の落人」伝説のように連綿と語り継がれる中で「ミステリーゾーン」が生まれたのかもしれない。

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