国債引き受けについては民主党が猛批判を展開
ただ、国債引き受けについては民主党が猛批判を展開する一方、渡辺喜美みんなの党代表も「まったく意味不明だ」と酷評。山口那津男公明党代表も「一定のルールを守る必要がある」と慎重姿勢を示し、さらに経済界からも「財政規律を緩めて資金をジャブジャブにするというのなら、市場に間違った捉え方をされる」(経済同友会の長谷川閑史代表幹事)と批判するなど、安倍氏は孤立した形。特に、自民党が国土強靭化基本法案を公約の筆頭に掲げ、従来から「10年間で200兆円」と打ち出していて、安倍氏が「建設国債」をわざわざ挙げて「引き受け」と語ったこともあって、「借金まみれで経済対策を打ち、それを日銀に引き受けさせるやり方はあってはならない」(野田首相)と、民主党に「安倍批判の突破口」(民主党議員)を与えた形で、考えが近いはずのみんなの党にも「金融政策と国土強靱(きょうじん)化をごちゃまぜにしている」(渡辺代表)と批判された。市場では「自身の発言で市場が円安・株高に動いたのに気分が高揚しすぎて、ちょっと勇み足だったのでは」(エコノミスト)との指摘が出ている。
選挙戦の論争はまだ始まったばかりで、「成長力を高める政策を打ち出すのが政治の役割だが、これという有効策が簡単に見つからない」(金融市場関係者)という閉塞感は消えず、選挙後の政権がどんな枠組みになっても日銀への緩和圧力が増すのは間違いない。