市選管の注意は聞かず、警察の警告はナシ
ツイッターでの投票呼びかけが功を奏したのか、10年の金沢市長選の投票率は、その4年前の27.39%から8.54ポイント増えて35.93%。夜6時以降、急に若者たちが駆け付けてきた投票所もあったという。
開票結果は、新人の山野候補5万8204票に対し、現職5万6840票。わずか1364票差で山野氏が現職の壁を破った。現職陣営の幹部は「多選批判で接戦は覚悟していたが、相手側のツイッターがなかったら勝敗は逆だったかもしれない。ルール違反は明らかだ」と悔しがったという。
金沢市選管は2年前の市長選を振り返り、「総務省の見解に基づいて山野氏陣営には公選法違反だからツイッターをやめるよう4度注意しました。ですが、A氏らに連絡が届かなかったのか更新停止や削除とはならなかった」。思い余った市選管は期間中、県警にも通報したが、県警が公選法違反による警告を発することはなく、選挙後もA氏らの事情聴取は行われなかった。
その理由は何か。投開票日の数日前からA氏らのツイートは「山野」という名前を記さずに投稿され、投票日も「新市長を!」という言い回しだった。そうした「テクニック」が効いたからなのか、それとも当時、中央政界ではネット選挙解禁の方向で与野党間の話し合いが進み、法案についての「合意」もできていたからか。
ネット選挙解禁法案が廃案となった現在も、はたして警察は、同様のツイートを「黙認」してくれるのだろうか。
「それすら判然としないのが、ネット選挙に関する公選法の現状。時代に完全に取り残されています」
こんどの総選挙に出馬予定の、ある候補者の選対幹部は、そう苦笑した。