現状のままでは仁川やチャンギに差をつけられる
成田空港は、多用な国の航空機が乗り入れる国際線ネットワークが豊富な国際拠点空港を目指している。しかし現状のままでは仁川空港やチャンギ空港にその地位を奪われてじり貧になりかねず、何らかの手を打つ必要性に迫られていた。
手荷物取り扱い施設使用料の値下げは、今後需要増が見込まれる格安航空会社(LCC)対策という側面が強い。LCCは、徹底的なコスト削減で低運賃を実現するビジネスモデルで事業展開するが、101席以上一律料金は中・小型機の使用が一般的なLCCにとっては不利なシステムでコスト増につながっていた。このためLCC各社は「座席数が少なければ、使用料は低くするべき」と求めており、この要望が認められる形となった。
今回打ち出した着陸料と手荷物取り扱い施設使用料の引き下げで、成田空港は実質で年間約10億円の減収になると見込んでいる。成田空港の夏目誠社長は「減収分はコスト削減で吸収し、新規の需要を取り込みたい」と意欲を示すが、「もう一段の値下げが必要だ」(航空関係者)との声が早くも上がっている。値下げ後の着陸料だけ見ても、仁川空港やチャンギ空港には及ばないためで、成田空港にとってはまだまだ試練が続きそうだ。