中東めぐり、日中は協力するしかない
IEAは米国がエネルギーを自給できれば、「中東産原油は90%が日本や中国など、アジア向きになる」と指摘。さらに、「(米国は)原油やガスを産出する地域に関心を示さなくなって、今後の中東政策にも大きく影響してくる可能性がある」と分析している。
そこで懸念されるのが、「ホルムズ海峡の封鎖」。もとはイランの核開発疑惑が発端だが、それに欧米が石油禁輸措置で対抗。さらにイランが反発して言い出した。12年1月に、イランが持ち出したのは記憶に新しいところだ。
中東から日本に輸入される石油や天然ガス(LNG)は、必ずホルムズ海峡を通る。石油や天然ガスなどの化石エネルギー依存度が81%(09年、IEA調べ)にものぼる日本とって、この海峡の封鎖は「死活問題」で、米国の中東への関心が薄れるなか、万一イランがホルムズ海峡を封鎖したら、日本は単独で交渉にあたるしかなくなるかもしれない。
前出の小田切氏は、「(シェールオイルなどを)米国は自分で使うので、日本に安く、しかも多く輸出することはないでしょう。ホルムズ海峡問題では、日中の利害関係は一致しています。万一の場合にはこの2つの輸入大国が協力していくほかありません」と話す。
「それこそ、尖閣問題で争っている場合ではなくなります」