大半の議員がアンケートに答えず
この後、しばらく解禁に向けた動きは停滞していたが、12年6月には、みんなの党が法案を参院に提出している。みんなの党の案では、自民党の法案よりも踏み込んだ内容で、事前の承諾がなくてもメールが送ることができ、有料広告を出すこともできる。政府にインターネットによる投票を検討することも義務づける、という内容も盛り込まれた。
渡辺喜美代表も、
「選挙にネットが使えなかったというのは、ネットの活用を怖がる守旧派勢力が、強く意向を働かせていたということだろう」
と成立に意気込みを見せていた。
だが、国会議員のネット選挙に対する関心は、極めて低いのが現状だ。ネット選挙解禁の運動を繰り広げている団体「ワン・ボイス・キャンペーン」が12年5月から8月にかけて、衆参議員712人にネット選挙解禁の是非についてアンケートを配布したところ、回答したのは12.5%にあたる90人。この90人のうち69人が賛成で、賛成する人しか調査に見向きせず、大半の議員がネット選挙には無関心な現状が浮き彫りになっている。
このことが影響したのか、自民党案も「みんなの党」案も審議は進まず、11年11月16日の衆院解散にともなう会期終了で審議未了で廃案になっている。
だが、12月16日の衆院選でネット選挙が解禁されたかったことへの不満の声は多く、次の国会ではまた議論が起きそうだ。一方で実際の選挙の現場では、すでに法案を先取りするような形でさまざまな「見切り解禁」の動きが出ている。次回以降、そうした動きを追う。