円安進行を背景にした株高は、「電力株」も例外ではないようだ。
衆院解散があった2012年11月16日を挟んだ22日までの1週間(7営業日)で、東京電力が5円高、関西電力で88円高、中部電力121円高、九州電力118円高と軒並み上昇した。
関電、九電700円台、中部電1000円台乗せ
東京株式市場は11月22日、日経平均株価の終値が前日比144円28銭高の9366円80銭と大きく続伸。5月2日以来、約半年ぶりの水準まで伸ばした。円安を好感して輸出関連株を中心に幅広い銘柄が買われた。
連日の株高を呼んだのは、衆院解散前後から自民党の安倍晋三総裁が口にする「金融の大胆緩和」だ。それを機に、円は下落基調を強めていて、22日は対ドルでは82円台半ば、対ユーロで106円台前半まで売られた。
21日に自民党が、「名目3%以上の経済成長の達成」や、政府と日本銀行が政策協定を結び2%の物価目標を定めることを明記した、政権公約を発表したことも株価には「プラス」に働いた。投資家の多くは、円安で企業業績の下振れ懸念が大きく後退したと判断しているようだ。
また、米ニューヨーク株式市場など海外市場も堅調なことから、東京株式市場も「買い」への安心感が広がっていることもある。
そうした中で、電力株も上昇傾向にある。
11月13日に年初来安値の120円を付けた東電株は22日、前日比2円安の128円で引けた。関電は前日比5円安の716円、九電も1円安の771円と伸び悩んだが、いずれも衆院解散を機に700円台に乗せている。
中部電は前日比23円高の1081円で、この1週間で121円も伸ばして1000円台に乗せた。中国電力や四国電力なども軒並み株価を上げている。
「買い」の材料になったのが、「原発の再稼働」だ。11月21日付の日本経済新聞朝刊は自民党の政権公約として、「原子力発電は3年以内に再稼働の可否について結論を出す」と報じた。これを受けて、同日の関電株は一時、前日比24円高の738円まで上昇した。
原発の再稼働への道筋がつくことで電力会社の収益回復を期待した投資家から、「買い」が入ったというわけだ。