航空各社が「ドル箱」だと位置づけている羽田空港の発着枠をめぐる攻防がヤマ場を迎えている。国土交通省は有識者会議に対して、配分のための評価基準の案を示したが、その内容に対して委員から異論が続出したのだ。案は、日本航空(JAL)の評価を、公的支援を受けていた期間について「ゼロ点」にするというもの。この案が採用されれば、JALへの配分は全日空(ANA)と比べて大幅に少なくなる見通しだ。委員からは、この案がこれまでの会議での議論を踏まえていないとの指摘もある。案があまりにも唐突に示されたため、「政権交代を間近に控え、JALへの公的支援に批判的な自民党に、国交省が配慮したのでは」といった見方すら出ている。
2013年3月末から1日25便増える
今回議論の対象になっているのは、2013年3月末から年間2万回(1日25便)増える国内線発着枠。2007年4月から12年3月までの5年間の航空6社(JAL、ANA、スカイマーク、エア・ドゥ、スカイネットアジア、スターフライヤー)の実績について、利用者の利便性の向上や地方路線充実への貢献といった項目ごとにポイント化して評価する。有識者による検討小委員会が12年11月末をめどに最終報告書をまとめ、それをもとに国交省が12年中に枠の数を確定する。25枠のうち、新興4社が13枠の配分を受けるとみられており、JALとANA向けの12枠の行方が焦点だ。
小委員会の会合は全部で5回行われ、11月19日に国交省で行われた最終回で評価基準案が示されたのだが、委員から、
「私の理解では、そこまでの評価をすべきだという意見は、(これまでの4回の会議では)あまりなかったような…」
と、「唐突感」を指摘する声が出た。「そこまでの評価」というのは、JALが公的支援を受けていた期間を、全項目について評価の対象から外す、つまり「ゼロ点」にする、という内容だ。具体的には、評価期間の5年間(1826日)のうち、JALが公的支援を受けていた802日(10年1月19日~12年3月31日)が「ゼロ点」になる。普通に採点した結果に、0.54をかけるというもので、JALの評価をほぼ半減させるものだ。