佐賀県・武雄市の樋渡啓祐市長が、生活保護をTポイントで支給するという構想を明かし、ネットで話題になっている。
パチンコなどに使われないよう、使途を限定する意図があるようだ。ただ、現状では武雄市内の加盟店では生活必需品を揃えられないとの指摘も出た。
「ほんとに問題があったら僕、市長辞めますよ」
「生活保護でね、新仕分けでも問題になってるじゃないですか。現金を払うと、どこで使われてるか分かんないじゃないですか。たとえばパチンコやったり」――。2012年11月18日、武雄市で開かれた「日本フェイスブック学会」で樋渡啓祐(ひわたしけいすけ)・武雄市長はこう切り出した。そして、地域通貨としてTポイントを採用し、生活保護をこれで支給するという構想を明かした。受給者は加盟店で生活必需品を買えばいいという。
Tポイントは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループが運営するサービスで、国内最大の会員数を誇る。武雄市立図書館への導入でも話題になった。
樋渡市長は以前にも、6月13日の定例市議会や7月23日のニコニコ生放送で同様の発言をした。
生活保護に関しては、今春以降に相次いで報じられた不正受給問題で市民の風当たりが強くなったとされる。貯めたり、流用したりしにくいTポイントで支給することで、こうした市民感情を納得させたいという意図が樋渡市長にはあるようだ。個人情報の問題など「できない理由」は多くあがっているが、市長は「(やってみて)問題があったら修正して行けばいいんですよ。ほんとに問題があったら僕、市長辞めますよ」と言い切った。
これを受けて、パネリストとして参加した批評家の東浩紀さんも「生活保護に関する悪感情と相互不信の蔓延を止めるためにも、クーポンやTポイントなどである程度使途を透明化したほうが、結果的に福祉が充実する、という論理の組み立ては重要」と一部肯定した。